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心療眼科医・若倉雅登のひとりごと

医療・健康・介護のコラム

通常の視力検査では見えない…目の「体力」測定へのハードル

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原因が分からないケース…目の「体力」測定のよい方法がない

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 神経眼科や心身医学の知識や経験を動員して診断を進めると、おおむね3分の2は何らかの原因がつかめます。ただ、原因が分かれば治療ができるかというと、そう簡単にはいきません。

 眼球自体は異常がないのに生じている「眼精疲労」は、目の位置の異常、目の動きの異常、目と脳の共同作業の不調などが絡んでいます。簡単に治すことはできません。まして、原因が分からない残りの3分の1の場合は、私も患者も困ります。

 それにもかかわらず、一般には、視力や視野が正常で、眼球にも何ら異常がない場合には、いかに患者が苦しみ訴え続けても、深刻に受け止めてもらえません。

 目の「体力」を測定するよい方法がないからです。

視力検査で分かるのは「目の瞬発力」…「持久力」は分からない

 眼科医は、通常の視力や視野の検査、患者の目を実際に見る「視診」、画像検査の結果を診断の根拠にします。

 たとえば視力検査は、検査用のレンズで矯正して、視野の中心部付近の最もよく見える部分の値を採用します。視力の値が「1.2」などとよかったとしても、必ずしも生活の中で見え方がよいことを示すものではありません。しかも、これは目の「瞬発力」を見ているのであって、その見え方が十分、持続するかどうかの「持久力」は分からないのです。

 医師は、患者の生の声を聞いて、その自覚症状の (つら) さや不自由さの程度を推し量るべきだとは思いますが、どうしても定量性のある数値を信用しがちです。

 ただ、目の「体力」を測定する方法は、すぐにはできそうもありません。いつか、よい方法を編み出す必要があるでしょう。

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201505_第4回「読売医療サロン」_若倉

若倉雅登(わかくら まさと)

井上眼科病院(東京・御茶ノ水)名誉院長
1949年東京生まれ。北里大学医学研究科博士課程修了。グラスゴー大学シニア研究員、北里大学助教授、井上眼科病院副院長を経て、2002年から同病院院長。12年4月から現職。日本神経眼科学会理事長、東京大学医学部非常勤講師、北里大学医学部客員教授などを歴任。15年4月にNPO法人「目と心の健康相談室」を立ち上げ副理事長に就任。「医者で苦労する人、しない人 心療眼科医が本音で伝える患者学」、「絶望からはじまる患者力」(以上春秋社)、「心療眼科医が教える その目の不調は脳が原因」(集英社)、医療小説「茅花流しの診療所」、「蓮花谷話譚」(以上青志社)など著書多数。専門は、神経眼科、心療眼科。予約数を制限して1人あたりの診療時間を確保する特別外来を週前半に担当し、週後半は講演・著作活動のほか、NPO法人、患者会などでのボランティア活動に取り組む。

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