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スポーツDr.大関のケガを減らして笑顔を増やす

コラム

アスリートを悩ませる「肉離れ」 繰り返さないためには?

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痛みがなくなるまで競技動作はしない

 肉離れの症状は、違和感や軽度の痛み程度のものから、歩行が困難になる状態のものまで、様々です。肉離れした筋肉を伸ばしたり、損傷した部位を押したりすると痛みます。肉離れになった時は、安静、冷却、圧迫し、患部を高く上げる「RICE処置」を行います。

 肉離れは筋肉のけがなので、X線検査では特に異常はなく、超音波検査やMRI(磁気共鳴画像)検査でわかります。MRIの所見では、筋肉の線維を損傷する「I型」、筋肉と腱膜を損傷する「Ⅱ型」、腱が骨に付着する部位を損傷する「Ⅲ型」に分類され、それにより、おおよその復帰時期も推察できます。I型で2週間、Ⅱ型で6週間で、Ⅲ型は場合によっては手術の必要があり、復帰には時間がかかります。

 押した時の痛みや筋肉を伸ばした時の痛みが改善するまでは、競技動作を中止する必要があります。また、不完全な状態で競技に戻ると繰り返しやすいけがですから、再発予防のアスレチック・リハビリテーションが重要です。

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肉離れが起きると、ストレッチをした時に、はり感や痛みを生じる

 それでは、Jさんの経過です。

 約3週間、ランニング動作を休み、肉離れが生じた部位を押した時の痛みや、ストレッチをした時の痛みと違和感が消えました。また、膝を曲げようと力を入れた時の痛みもなくなりました。理学療法士から教わったスクワットの基本動作や筋力トレーニングを行いつつ、軽いジョギングからランニングへと段階的に進み、約2か月後には大会に出場することができました。

軽いけがとは思わないで対処を

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 最後に、肉離れの再発を防ぐトレーニングの一つについて説明します。ストレッチは、はり感や痛みなど、本人の自覚症状をみながら行います。筋力を回復させるトレーニングは、膝の角度を変えずに力を入れる(等尺性収縮といいます)ことから始めます。そして、次は力を入れて膝を曲げる動き(求心性収縮)、最後は力を入れている状態で膝を伸ばされる(遠心性収縮)という順序で、段階的にトレーニングを行っていきます。トレーニング中に再発する可能性もあるので、理学療法士やアスレチックトレーナーの方に指導してもらうのがベストです。

 発症を繰り返さないためにも、軽いけがと思わないでしっかり対処しましょう。(大関信武 整形外科医)

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 私たちは、スポーツに関わる人に体やけがについての正しい知識を広めて、スポーツによるけがを減らすために、「スポーツ医学検定」を実施しています。スポーツ選手のみでなく、指導者や保護者の方も受けてみませんか(誰でも受検できます)。

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 第4回の申し込み開始については、ホームページにて案内します。
 本文のイラストや写真の一部は、「スポーツ医学検定公式テキスト」(東洋館出版社)より引用しています。

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Ozeki-7-pro

大関信武(おおぜき のぶたけ)

整形外科医・博士(医学)
一般社団法人日本スポーツ医学検定機構代表理事

1976年大阪府生まれ、兵庫県立川西緑台高校卒業。
2002年滋賀医科大学を卒業。2014年横浜市立大学大学院修了。横浜市立大学付属病院、横浜南共済病院、関東学院大学ラグビー部チームドクター、英国アバディーン大学研究員などを経て、2015年より東京医科歯科大学再生医療研究センター所属。現在、東京医科歯科大学付属病院スポーツ医学診療センター、八王子スポーツ整形外科などで診療。日本体育協会公認スポーツドクター。野球、空手、ラグビーなどを通じて、野球肘、肩関節脱臼、足関節靱帯損傷、骨折(鼻骨、手首、下腿)など自身が豊富なケガの経験を持つ。スポーツのケガを減らしたいとの思いで、2015年12月一般社団法人日本スポーツ医学検定機構を設立し、「 スポーツ医学検定 」を開催している。

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