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がん患者ら装い美しく、着こなしメイク提案…外見変化の悩み解消

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がん患者ら装い美しく、着こなしメイク提案…外見変化の悩み解消

スカーフの上手な着こなし方を説明する菊原さん(左)=東京都内で

 乳がんの治療や副作用による外見(アピアランス)の変化に悩む人は少なくない。美容やファッションで体の変化を補おうと、がん患者や経験者が、自らの体験などに基づき情報を発信する取り組みが広がっている。

 4月、乳がん患者らを対象にした「装い」の講習会が、東京都内で開かれた。講師のスタイリスト、菊原亜紀江さん(52)も、乳がんで右胸の全摘手術を行い、今も通院治療を続けている。

 「ギャザー(ひだ)のあるブラウスなど、ふんわりとしたシルエットの服で体形の変化をカバーしましょう」

 菊原さんは、自ら試行錯誤しながら実践してきた着こなし術を解説。スカーフの上手な活用方法も伝授した。参加した神奈川県内の女性(46)は、「隠すだけでなく、ファッションを楽しめることがわかった。気持ちが変わります」と笑顔を見せた。

 講習会は、今春設立された患者団体「装いアピアランスクリエイト協会」(東京)の活動の一環だ。「患者がそれぞれできることを共有すれば、生活が明るくなる」と菊原さんは話す。設立者の西沢桂子さん(54)も、下着商品の企画に携わった経験から、下着と組み合わせた人工乳房を開発している。

 国立がん研究センターによると、がん患者の3人に1人は就労可能な20~64歳で 罹患りかん し、生存率も年々上昇している。がん患者の支援に取り組む美容ジャーナリストの山崎多賀子さんは、「治療と仕事を両立する人が多くなり、外見の変化に伴う悩みを抱える人も増えた」と指摘する。

 脱毛や肌色の変化、乳房摘出など、がん患者が抱く悩みは様々だ。「患者の悩みに他の患者が応えることはとても役に立つ。ブログやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)により、情報発信も容易になっている」と山崎さんは分析する。

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ヘッドウェアをかぶる中島さん

 4年前に乳がんが判明した横浜市のデザイナー、中島ナオさん(35)は、治療に伴う脱毛の悩みから「ヘッドウェア」を考案した。髪がなくても心地よくかぶれるおしゃれな帽子が見あたらず、自分で作ることにしたという。こだわったのは、患者ではない人でもかぶりたくなるデザイン。4月にインターネットで販売を始めると注文が殺到した。「自分が快適であるためのモノを作る。それが選択の幅を広げ、『がんになっても大丈夫』という社会につながれば」と中島さん。

 千葉県習志野市の行政書士、瀬戸川加代さん(44)は、自分で工夫した眉毛のメイク方法などを紹介する動画をネットで公開している。「同じ悩みを持つ人が必ずいると思った。少しでも生活の手助けになることを伝えたかった」

 国が3月に策定した第3期がん対策推進基本計画には、がん治療に伴う外見の変化について、相談や支援、情報提供の体制が不十分との見解が盛り込まれている。山崎さんは、「外見を気にせずにすめば、職場復帰が容易になるだけでなく、抗がん剤治療にも前向きになれる。患者同士の助け合いが広がり、患者の外見に関する社会全体の理解が深まってくれれば」と話す。(志磨力)

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