痔核のジオン注射後、便漏れ
50歳頃から
まず直腸肛門機能検査を
樽見研 樽見おしりとおなかのクリニック院長(札幌市)
痔核は、肛門を閉じる役割をするクッションのような組織が静脈
排便時に痔核が肛門外に出て、自分で戻さなければならなくなると、外科的治療が必要です。
ジオン注射は痔核が縮小し、また組織が硬くなって脱出症状も改善する治療方法です。保険適用されています。
治療効果も高いため急速に広がっていますが、4か所に注射する高いレベルの手技が必要です。安易に行うと、重い合併症を起こす可能性があります。
相談者のように無意識に下着を汚すような液体状の便がもれることを漏出性便失禁と呼びます。
ジオン注射が直接的に下痢のような副作用を起こした可能性は低いと思います。しかし、注射によって直腸や肛門が狭くなったり潰瘍ができたりする副作用は報告されています。これらが原因で便意切迫や残便感、肛門部の違和感が起き、神経性の下痢を招いているとも考えられます。
今後の治療方針を決めるにはまず、下痢と、注射の副作用との関わりを調べることです。器質的な障害があるのかをみる直腸肛門機能検査が非常に役に立ちます。この検査ができる専門の医療機関の受診をお勧めします。