いちばん未来のシニアのきもち
医療・健康・介護のコラム
高齢者は子どもと同じですか?
こんにちは、慶成会老年学研究所の宮本典子です。
高齢者は、超高齢社会のいちばん先をいく人たちです。共に生きやすい社会をつくることは、次の世代の未来をつくることになると思いませんか?
高齢になると、聴力や理解力など様々な機能が衰えて、認知機能の低下が見られるようになります。その結果、高齢者と話している側には、自分の伝えたい内容が相手に十分伝わっていない、と思えることが増えてきます。
そんなときに、何げなくとられている「対応」があります。
高齢者だと、接する態度が変わる
先日訪ねた眼科の待合室で、80歳くらいの女性と隣り合わせました。そこへ看護師がやってきて、簡単な問診を始めました。
「おばあちゃん、今日はどうしたのぉ?」
「目、ちょっと見せてぇ」
「はあい、上見てぇ。今度は下見てぇ。そうそう、上手、上手ぅ」
「呼ばれるまで、ここで待っててねぇ」
女性は、黙って、看護師の指示通りに行動していました。
次は、私でした。このやりとりを聞いて気持ちがざわついている私に、看護師は何事もなかったかのように「今日はどうなさいました?」と問いかけてきました。
同じ成人の患者なのに?
この態度の変わりようを、隣の女性はどう見ているだろう。まるで自分が悪いことをしたかのような胸の痛みがありました。
私は、こうした現象に、「高齢者=弱者=子ども」、つまり、高齢者はもはや一人前の存在ではない、という間違った思い込みを感じます。
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凄く難しいのが、子供は極めてまれな成長の速い天才や秀才を除いて子供であり、全員をまとめて子ども扱いしていいのに対して、高齢者との関係は多様性に富むということです。
高齢者には子ども扱いされたい人もいれば、嫌がる人もおり、TPOによって使い分けてほしい人もいるでしょう。
1人の時、2人の時、様々な集団の中で個人の立場や役割、願望は変わります。
精神症状とか社会的な扱いというのはデリケートで難しいわけですね。
同じタバコが原因で、通り道の咽頭や気管支、食道や胃に炎症やがんができたのであれば、みんななんとなく理解できるのに、心や社会的対応の問題になるとその複雑さ故に難しくなります。
実際、お金とか社会的関係とか絡むから、距離感は難しいものがあります。
ファーストネームやニックネームの取り扱いも人間関係の間合いを決める部分があって似ています。
いま、医療関係の知識も進歩してますし、社会構造もどんどん変化してますから、額面的側面から社会的対応まで何から何まで全てが一人前の社会人として社会に出てくる人は少ないと思います。
そういう意味でも、硬直した関係性や対応だけでなく、様々なオプションを提案、提示していくことが重要になると思います。
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