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子どもの健康を考える「子なび」

医療・健康・介護のコラム

不慮の事故(1)電気ケトル倒れやけど

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  子どもの思いがけない事故による大けがは後を絶ちません。日本小児科学会で症例の収集と分析、情報発信に取り組む緑園こどもクリニック(横浜市)院長の山中龍宏さん(70)に、不慮の事故を防ぐ手だてを聞きます。(聞き手・萩原隆史)

◇ 
不慮の事故(1)電気ケトル倒れやけど

 1歳の女児が大やけどをしたのは、ある日の夕飯どきでした。台所の棚(高さ約50センチ)の電気ケトルに手を伸ばし、ひっくり返したのです。腕や胸、背中に熱湯がかかり、小児集中治療室に入院する事態となりました。

 少し大きな子の事例もあります。6歳の男児は、母親の実家で親戚の子と遊んでいた時、食卓の電気ケトルから延びる電源コードに足をひっかけて転倒。そこに熱湯が降りかかりました。

 電気ケトルは、必要な量だけすぐにお湯を沸かせ、どこにでも持ち運べるため、近年急速に普及しました。ただし、大人にとっての便利さは、子どもには大きな危険にもなります。

 かつて電気ポットでやけどが多発したため、倒れても湯漏れ量が50ミリ・リットル以下になるよう日本工業規格(JIS)で規制されました。ですが、製品として新しい電気ケトルにはこの規格がありません。湯漏れ防止機能付きの製品が出回りつつありますが、こうした安全機能のないタイプも多いのが現状です。

 行政機関はことあるごとに「子どもから目を離さないで」などと親に注意を呼びかけますが、それだけでいいのでしょうか。四六時中、完璧に目を離さないなんて、ちょっとできません。

 唯一、予防効果があるのは、安全な製品です。そこで、あるメーカーに湯漏れ対策を求めたことがあります。担当者から驚きの回答がありました。

【略歴】
山中龍宏(やまなか・たつひろ)
 1947年、広島市生まれ。小児科医。東京大医学部卒。子どもの事故防止に取り組むNPO法人「セーフ キッズ ジャパン」(東京)理事長、消費者庁の消費者安全調査委員会専門委員。

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