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五味院長の「スッキリ!体臭で悩まなくなる話」

コラム

わたしニオうんです――自己臭症(上)悩んで大学退学、引きこもり…深刻なケースも

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他人のしぐさから「自分は臭い」と思い込み

 あなたは電車に乗っているときに、隣の人が急に席を立ったり、鼻をすすって自分の顔を見たり、せき込んでマスクをされた経験はありませんか?

 また、会社に出勤して部屋に入ったとたん窓を開けられたり、「なんかこの部屋臭くない?」などの言葉が聞こえてきたことはありませんか?

 そのような他人の態度やしぐさ、言葉があったとき、「もしかして自分がニオっているのかな?」と不安が頭をよぎりませんか?

 普通なら、たまたま「その人の降りる駅なのだ」、「花粉症か風邪をひいているのだ」、「暑くて窓を開けたのだ」、「ニオイの話題をしていたのだ」などと想像を働かせ、一過性な「偶然の出来事」として済ませるでしょう。

 ところが、そのような偶然の出来事を、「自分が臭いから他人が咳き込んだり、くしゃみをするのだ」と思い込んでしまう人がいます。「自己臭症」と言われるケースです。

 実は、この自己臭症に悩む人が近年非常に増加しています。当院に来院される人の半数近くが自己臭傾向のある患者さんです。以下は、当院に送付されたある元大学生からのメール相談の実例(一部編集してあります)です。

「自分のニオイに悩み、大学もやめてしまいました」

 私は大学に入学した頃から、急に変なニオイがすると思い始めました。最初は他人のニオイや外のニオイかな、とさほど気にしませんでしたが、やはり自分の周りで臭いと思うことが頻繁にあり、やがて確信につながっていきました。自分では確信したくないのですが、するしかありませんでした。

 それから次第に気にするようになり、人が複数いるところへ行くと「自分はニオうからここにいる人たち皆に迷惑をかけてしまう」と思うようになり、だんだん人と接することが恐ろしくなりました。そのわけは、ニオイが9割ですが、残り1割は「ごめんなさい」という気持ちが強いからです。自分がここに来なければ、みんなニオイのことで不快な思いをしないですむし、空気が悪くならずにすみます。そのように常にニオイでびくびくしながら生活をしていると、人の挙動や誰かが鼻をすする音、自分と対面したときの一瞬の表情の変化、周りから聞こえてくる「なにか臭くない?」などの言葉に対してとても敏感になり、自分に対して言っていると思うようになりました。

 そんなこんなで、大学も1年でやめてしまいました。今は家で閉じこもった生活をしています。死にたいと思うようにもなりました。自分の存在がみんなに迷惑だからです。出来れば自分もニオイを気にせずみんなと仲良く話したいです。

 デオドラント剤も片っ端から試してみましたが、どれも効果はありませんでした。ニオイに敏感になっていくうちに体にも変化が起こりました。運動と関係なく急に「火照り」がして、大量の汗をかいてしまうのです。今はニオイだけでなく汗にも悩んでいます。こういうことを本心で誰かに打ち明けることが今までなかったのでず。何かよい方法はないでしょうか?

 多少長くなりましたが、このメール文には自己臭症の特徴がすべて表現されています。

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五味常明(ごみ・つねあき)

1949年、長野県生まれ。一橋大学商学部、昭和大学医学部卒。昭和大で形成外科、多摩病院で精神科に携わった後、体臭・多汗研究所を設立。現在は、 五味クリニック 院長として、東京と大阪で診療する傍ら、流通経済大スポーツ健康科学部の客員教授も務めている。

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