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「日用品でケガ」医療機関ネットワークが情報収集苦戦…医師ら負担増、事業敬遠

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「日用品でケガ」医療機関ネットワークが情報収集苦戦…医師ら負担増、事業敬遠
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 国民生活センターと消費者庁が生活用品でけがをした患者の情報を全国の病院から集める「医療機関ネットワーク事業」が苦戦している。昨年度の収集情報数は5576件で前年度(8286件)から3割以上減少した。医師の負担増などを理由に、事業から離脱する病院が相次ぐことが背景にある。

 同事業は2010年12月に始まった。参加した病院から調査員に指定された1~4人程度の医師や看護師らが、診察時の聞き取りや問診票、カルテなどを基に生活用品でけがをした患者の情報を国民生活センターに報告。センターが業界団体などに対策を要請する仕組みだ。

 開始当初、13病院が参加した事業は、13年度は24病院、15年度は30病院に増加。センターに寄せられた情報数も11年度の5480件から16年度は8286件に増えるなど、順調に推移していた。

 ところが、17年度事業に向けた契約更新時に9病院が契約更新を辞退。同年度の参加病院は新たに契約した2病院を加えた23病院となり、センターは昨年夏、病院の追加公募を実施したが、1病院しか応じなかった。今年1月の公募でも、応じたのは1病院だけ。別の病院が離脱を申し出たため、今年度も24病院の態勢は変わっていない。

 ただでさえ、長時間労働になりがちな医師や看護師にとって、事故情報の収集や報告作業は負担が大きい。事業から離脱した病院で調査員を務めていた男性職員は「診察中に患者から聞き取りを行えば、ほかの患者を待たせることになるし、業務量も増える。調査員になるのを嫌がる医師や看護師もいる」と打ち明ける。

 17年5月の改正個人情報保護法施行により、患者情報の取り扱いが厳格化されたことも負担増に拍車をかける。それまで収集した情報は、患者の許可を得ずにセンターに送ることができたが、同法施行後、民間病院では患者の同意が必要となった。

 事業に参加する関東地方の病院で調査員を務める男性職員は「貴重な事業だが、診察後に電話すると、患者から煩わしがられることが多く、同意を得るのは容易でない」と話す。

子どもの事故対策では一定の成果

 同事業は、一定の成果を上げている。16年には、子ども用の座席が付いたショッピングカートで子どもが骨折するなどした事故情報が100件以上寄せられ、国民生活センターが原因を分析。1~3歳児がカートの上で立ち上がろうとしたり、身を乗り出そうとしたりした際に事故が起きるケースが大半を占めており、関係団体に対策を要請した。

 17年には、グリル付きコンロで子どもがやけどしたケースで、1歳前後の子どもの身長がグリルの位置とほぼ同じ高さであることなどを確認。消費者に注意喚起を行い、業界団体にも安全な商品の開発を求めた。

 センターの担当者は「事故情報の収集は、重篤なけがを負う事故を未然に防ぐことにつながる。医療機関にしかできない事業だと病院側に理解してもらい、協力を求めていくしかない」としている。

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