いのちは輝く~障害・病気と生きる子どもたち 松永正訓
医療・健康・介護のコラム
[インタビュー]18トリソミーの子を持つ親から②――障害と向き合う子育て だからこそ得られる喜びがある
運動会や学習発表会、プールにも!
――徐々に日常生活の範囲も拡大していきましたか?
4歳を迎えるころには一層体調も安定し、医療的ケア児の通う施設や、地域の保育園にも通えるようになりました。
保育園に行った日は、同級生の友達に囲まれ、楽しく過ごしました。運動会や学習発表会にも参加することができました。心咲は自分の足で歩いたり、言葉を発したりすることは難しいのですが、たくさんの人に支えられ、日々頑張っています。プールにも行き、水中に潜ったり手足をバタバタ動かしたりと、積極的に運動もしています。
――そして今は6歳。4人きょうだいの長女ですね。
6歳と4歳、4歳、2歳で、特に下の3人に手がかかるので慌ただしい毎日です。心咲はこの春に特別支援学校に入学し、下の3人は保育園に通っています。
心咲は身辺のことを全て誰かに行ってもらう全介助です。何かをやってもらいながら笑顔を見せたり、手足を動かしたり、心咲なりの表現方法で気持ちを伝えてくれていると感じます。
子育ての喜びに障害の壁はない
――子育ては楽しいですか?
障害の有無に関係なく、楽しいです。できなかったことができるようになったり、分からなかったことが分かるようになったり、子どもの成長を見たり感じたりする日々に、障害による壁はありませんでした。子育てで大切なことは、短い時間でも、子どもと時間を共にすることだと気づきました。
――多くの人が心咲ちゃんの周りにはいます。
障害があることによって諦めかけたこともあります。ですが、その分、家族以外のたくさんの人が心咲に関わってくれて、成長を手伝ってくれています。
自分たちが諦めてしまいがちなことに、誰かが手助けしてくれ、関わってくれる。そのおかげで、ほんの小さな変化からも大きな喜びを感じることができます。そういう人と人とのつながりや関わりの深さを感じながらできる子育ては、障害児だからこそというか、健常児以上にとても楽しく、ありがたいなと感じます。(次回に続く)(松永正訓 小児外科医)
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