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Q 2025年問題とは?

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Q 2025年問題とは?

A 団塊世代全員が75歳以上に

 戦後間もない1940年代後半にたくさん生まれた世代は、「団塊世代」と呼ばれる。この世代全員が2025年になると、75歳以上になり、人口のおよそ5人に1人が75歳以上になる見通しだ。

 これに伴い、医療や介護など、社会保障分野で必要な費用が急増し、国の財政を一層圧迫する恐れがある。このことが、「2025年問題」と呼ばれている。

 75歳以上になることに伴って、公的医療保険や介護保険を使うことが増える。

 介護の場合、心身の機能が衰えて、食事や入浴の際にヘルパーの介助を受けることなどができる介護保険サービスを使うことが多くなる。医療では病院に長い間入院したり、服用する薬の種類が増えたりする。

 こうした事情により、社会保障全体の費用も膨らむ見通しだ。年金や子育てなどを含めた費用は、15年度から25年度にかけて2割強増える。

 一方で、少子化で支え手が減ることなどから、社会保障に必要なお金を十分に賄えなくなる恐れもある。しかし、急増するニーズに応じて、保険料や税金を上げるのにも限界がある。

 このため、国は、社会保障にかかる費用を抑えようとしている。医療では、紹介状なしで受診した患者から特別料金を徴収する病院の数を、今年4月から増やした。介護では今年8月、年金などを比較的多く受け取っている高齢者の自己負担の上限を、現在の2割から3割に引き上げる。

 「2025年問題」はお金の話だけではない。1年に亡くなる人が約154万人に上る「多死社会」にも直面する。現在は多くが病院で亡くなっているが、25年頃には、病院だけでは対応できなくなることも予想される。このため、自宅や特別養護老人ホームなどの介護施設でも安心して最期を迎えられるよう、みとりの仕組みを十分に整えていく必要もある。

 25年まであと7年。社会保障に使う費用が伸びる中、限られた財源をどう有効に使うべきか。私たち一人ひとりに突きつけられた重い課題だ。

 (板垣茂良)

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