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【いのちの値段】対話のカタチ(5)前立腺がん検査で葛藤

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【いのちの値段】対話のカタチ(5)前立腺がん検査で葛藤

前立腺がんに関する資料を手に、がん検診について語る男性(東京都千代田区で)=竹田津敦史撮影

 がんを早期発見できたことはよかった。よかったが、本当に受けるべきだったのか。東京都内で中小企業を経営する男性(68)が、2013年、地元の内科診療所で勧められたPSA検査のことを振り返る。

 この検査は、前立腺がんの疑いをみるため、たんぱく質(PSA)の血中濃度を調べる。測定値が4~10なら、がんが発見される確率は約3割、10以上なら4割を超すとされる。健康診断などの際、オプションで追加するだけでよい。値段は3000円ほどだ。

 デメリットについての説明は何もなかった。軽い気持ちで受けてみた。結果は、基準値を少し超える5・1。ここから、苦悩の日々が始まったのだ。

 PSA検査は2000年代に急速に普及し、日本泌尿器科学会も強く推奨する。8割以上の市町村がPSA検診を実施している。

 ただし、前立腺がんは進行が遅く、がんを抱えたまま天寿を全うする人も多い。早期のがんを見つけてしまったために体に負担をかけて治療を受けるという矛盾も生じる。手術や放射線治療には、排尿障害や性機能障害などが起きるリスクを伴う。検査の費用対効果については、国際的にも結論が出ていない。

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