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医療・健康・介護のコラム

『イタイイタイ病との闘い 原告 小松みよ』 向井嘉之著

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イタイイタイ病患者の生涯を本に

『イタイイタイ病との闘い 原告 小松みよ』 向井嘉之著

撮影・細野登

 富山市の神通川流域で発生したイタイイタイ病を国が初めて公害病に認定してから、5月で50年。原因企業を相手取った損害賠償請求訴訟のリーダーの生涯をたどる「イタイイタイ病との闘い 原告 小松みよ」(能登印刷出版部)を節目の年に出版した。

 1966年、富山県のテレビ局にアナウンサーとして入社し、社会問題化していたイタイイタイ病の患者や遺族の取材を任された。

 街頭で支援を訴えるビラを配る小松さんに初めて会い、取材を始めたのは68年3月。骨がもろくなり、圧迫骨折によって身長が約30センチ縮み、歩くのもやっとだった。それでも出せる限りの声で「お願いします」と訴え、行き交う人に歩み寄る小松さんの姿に、「自らをさらけ出して伝えようとしている悲惨さ、つらさ」を報じる使命を感じた。

 85年に小松さんが66歳で亡くなるまで、重ねた取材は50回以上。近代日本の負の側面を憂えた「公害はなくならない」という言葉が印象に残っている。

 患者の多くが亡くなり、記憶の風化が進む中、退職後も住民運動などをテーマに勉強会を続けている。半世紀以上にわたるライフワークの熱は冷めず、「悲惨な歴史を若い人に知ってほしい」と語る。

向井嘉之(むかい・よしゆき) 東京都生まれ。2014年発足の「イタイイタイ病を語り継ぐ会」代表。

(富山支局 八木陽介)

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