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【いのちの値段】対話のカタチ(3)救急外来 高齢者に「安心」

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【いのちの値段】対話のカタチ(3)救急外来 高齢者に「安心」

救急車で搬送された患者に声をかけつつ、治療を進める救急医の志賀さん(東京都港区の国際医療福祉大学三田病院で)=奥西義和撮影

 先月の午前6時、東京タワーに近い2人暮らしのマンション。夫(77)の寝室のドアを開けた妻(80)が言った。「助けて、心臓が痛い」。しばらく様子を見ていたが、痛みが増した妻は「もうだめ」と泣いた。

 午前8時、タクシーに乗り、国際医療福祉大学三田病院(東京都港区)に駆け込んだ。救急医の志賀隆さん(42)がいた。

 急性心筋 梗塞こうそく ? 血圧を測り、問診をする。心電図は異常なし。血液を調べる。梗塞を示すたんぱく質の増加はない。肝機能も正常。貧血もなし。肺のエックス線検査もOK。心臓の超音波検査でも、心不全や大動脈解離などの心配はない。

 夫は妻に目をやった。認知症が重くなり、足腰も衰えた妻。毎月のように、こうして痛みを訴え、複数の病院の救急外来を使う。救急車を呼ぶ日もある。

 自分は不動産開発の仕事が忙しく、午後9時までは帰れない。午後5時まではヘルパー、夕方以降は、妻の友人が面倒をみる。週1回、医師と看護師が訪問に来る。それが妻の世界だ。

 夜中に 徘徊はいかい して保護される。意識が明瞭な時は「情けない」と涙を流す。自分がそばにいれば落ち着く。家に置き、できる限りのことをしてあげたい。もう少しの「安心」があれば痛みも和らぐのだろうが……。

 志賀さんも、夫妻の「安心」のことを考えていた。高齢者の痛みは原因が判明しないことが多い。認知症の人はなおさらだ。だが、「心配だ」と言っている人を拒みはしない。

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