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【いのちの値段】対話のカタチ(2)自己否定の悪循環を脱出

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【いのちの値段】対話のカタチ(2)自己否定の悪循環を脱出

作業所で箱づくりの仕事をする横山さん(左)。利用者との交流は回復に向かうきっかけとなった(千葉県我孫子市で)=園田寛志郎撮影

 原因不明の激痛に耐えかねて死を願った日々が、今はセピア色だ。千葉県我孫子市の主婦、横山玲子さん(59)は、痛みと折りあうすべを見つけた。聖路加国際病院(東京都中央区)リウマチ 膠原こうげん 病センターの医師、津田篤太郎さん(41)との語らいのなかで。

 2015年7月以来、横山さんは、津田さんの診察室に通った。自分の痛みを、暮らしを、家族のことを語る。半年がたち、1年が過ぎた。言葉にすることで気づいたことがある。

 家で一人になると痛みが強い。痛みで介護ができない自分。家事ができない自分。家は、自分を否定する材料が多い場所だった。

 津田さんの助言で、16年7月、精神疾患の人らが働く市内の作業所に通い始めた。一緒に折り紙や箱づくりをするうち、利用者と気さくに会話するようになった。「楽しい」と感じた瞬間、痛みは軽減した。

 ネガティブな心の状態は痛みを増幅させる。少しの刺激でも痛いと感じるようになり、体が硬直する。筋肉への血流が低下すれば、酸欠状態になった組織から痛み物質が放出され、より体を硬くする。そうした悪循環の一端が崩れた。

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