文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

ニュース

ニュース・解説

熊本地震から2年「関連死」認定困難…悩む自治体、統一基準求める声

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック
熊本地震から2年「関連死」認定困難…悩む自治体、統一基準求める声
id=20180416-027-OYTEI50007,rev=4,headline=false,link=true,float=left,lineFeed=true

 発生から2年となった熊本地震の被災地では、避難生活の影響などで死亡した関連死を巡り、自治体が認定業務の難しさに直面している。全国一律の基準がないためだ。市町村や専門家からは、国に基準作りを求める声が高まっている。

 熊本県内の80歳代女性は、本震で入院先が被災し、転院先で気管に食べ物が入って 誤嚥ごえん 性肺炎となった。回復したものの2か月後に再び発症、地震の約4か月後に亡くなった。

 遺族は「地震による転院などで体調が悪化し、誤嚥が起こった」として、女性が住んでいた町に関連死の認定を申請。しかし、町が判断を諮問した県の合同審査会は「一度回復しており、死亡と地震との因果関係がない」と結論づけ、女性は不認定となった。

 関連死の認定基準は自治体が策定する。東日本大震災の被災地・岩手県では、震災後に誤嚥性肺炎を発症し、いったん改善した後で再発して死亡した90歳代女性が認定された。両県の認定基準には、改善した場合を不認定とみなすとあるが、岩手県では審査委員の医師が「一度、誤嚥すると繰り返す」と指摘し、震災の影響が認められたという。熊本県や町はこれを知らず、県の担当者は「自治体レベルで他の災害の事例まで把握するのは限界がある」と漏らす。

 関連死は、避難生活の影響で体調を崩して死亡した場合などに認められ、災害弔慰金として最大500万円を支給。費用は国が2分の1、都道府県と市町村が各4分の1を負担する。

 読売新聞の調査によると、今年3月末現在、熊本地震で結果が出た578人のうち認められなかった割合は63%。東日本大震災の被災3県の不認定率は、岩手43%、宮城27%、福島23%だった。

 東日本大震災で国は、2004年の新潟県中越地震後に同県長岡市が策定した基準を参考として被災自治体に通知した。岩手県は認定事例の分析を進め、発生から2年後に県独自の基準を固めた。

 熊本地震では、県が発生の約4か月後に市町村に基準を示し、24市町村が準用する一方、大分県の2市も含め4市が独自に基準を設けた。熊本県八代市の担当者は「被災後は膨大な業務に追われ、人的余裕はなかった。国の基準があれば、速やかに公平な認定業務を始められる」と訴える。

 一方、内閣府は「災害の種類や規模が異なるため、画一的な基準を設けるのは難しい」と消極的だ。

 兵庫県立大の室崎 益輝よしてる 教授(減災復興政策)は「基準が異なれば、救済される人とされない人が出てしまう。地域の事情を加味できる形で、国が統一基準を作る必要がある」と話す。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

ニュースの一覧を見る

最新記事