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その医療 ホントに要りますか?

医療・健康・介護のコラム

認知症の妄想、徘徊、暴言… それは薬のせいかもしれません

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薬が引き起こす幻覚、妄想、興奮…

 男性が暴力を振るったのは、薬が原因で起きる「せん妄」だったのです。

 せん妄とは、意識障害の一つで、不安やイライラを伴う幻覚や妄想が起きたり、興奮状態になって暴力、暴言につながったりすることもある状態です。原因の薬は、抗不安薬のデパスとみられました。ベンゾジアゼピン系と呼ばれる薬の一つで、せん妄の副作用があります。それまで男性がかかっていた医師は、怒りっぽさや徘徊を抑えようと処方したようですが、かえって悪化させていたのです。

【ベンゾジアゼピン系薬剤の種類】
(成分名。かっこ内は商品名の例)

アルプラゾラム(コンスタン、ソラナックス)
エチゾラム(デパス)
オキサゾラム(セレナール)
クアゼパム(ドラール)
クロキサゾラム(セパゾン)
クロチアゼパム(リーゼ)
クロラゼプ酸ニカリウム(メンドン)
クロルジアゼポキシド(コントール、バランス)
ジアゼパム(セルシン、ホリゾン)
トフィソパム(グランダキシン)
トリアゾラム(ハルシオン)
ニトラゼパム(ベンザリン)
フルジアゼパム(エリスパン)
フルタゾラム(コレミナール)
フルトプラゼパム(レスタス)
フルニトラゼパム(ロヒプノール)
ブロマゼパム(レキソタン)
メキサゾラム(メレックス)
メダゼパム(レスミット)
ロフラゼプ酸エチル(メイラックス)
ロラゼパム(ワイパックス)

 デパスなどベンゾジアゼピン系の薬は、睡眠薬としても広く使われています。しかし、日本老年医学会が作った「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン」では、せん妄の副作用があるため、「特に慎重な投与を要する薬物」の一つに挙げられ、「高齢者には可能な限り使用を控える」とされています。世界保健機関(WHO)も、日本はベンゾジアゼピン系の薬を使いすぎていると警告しています。

治療は飲んでいる薬の整理から

 この薬のほか、抗うつ薬の一部(三環系抗うつ薬)や、H2ブロッカーと呼ばれる胃腸薬などにも、せん妄の副作用があり、いずれもガイドラインでは「高齢者には可能な限り使用を控える」としています。

 高瀬医師は「たくさんの薬を飲んでいる高齢者は多い。治療はまず、薬を整理することから始めます」と言います。

 医療機関にかかっている75歳以上の高齢者の約7割に、5種類以上の薬が処方されている、というデータもあります。こうした「多剤併用」は、大きな問題となっているのです。(田中秀一 読売新聞東京本社調査研究本部主任研究員)

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tanaka200

田中秀一 (たなか・ひでかず)

 医療情報部(現医療部)、社会保障部、論説委員、編集局デスクを経て現職。長期連載「医療ルネサンス」を18年担当、現代医療の光と影に目を凝らしてきた。「納得の医療」「格差の是正」をテーマとしている。

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1件 のコメント

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はしご受診の弊害

猫屋犬君

複数の医療機関にかかることを「はしご受診」っていうんでしたっけ。 でも、これはかかりつけ医を持つとなくなります。あとお薬手帳を医師に見せるのも大...

複数の医療機関にかかることを「はしご受診」っていうんでしたっけ。
でも、これはかかりつけ医を持つとなくなります。あとお薬手帳を医師に見せるのも大事。
自分が常時服用している処方薬があるのでお薬手帳か処方薬の一覧表は必ず持参します。
でないと持病のある人間にとって怖いことになるの分かってるので。
もちろん主治医には服用した薬は報告します。処方箋を書くのは医師。なのでお薬手帳経由で連携をとってもらうのはとても大事だと思います。

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