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心療眼科医・若倉雅登のひとりごと

コラム

黒目が白くなってきたら、本当に「白内障」?

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黒目が白くなってきたら、本当に「白内障」?

 「先生、黒目が白くなってきました。白内障でしょうか」

 私は、このような質問を外来で何度か受けたことがあります。初めは、その意味がわかりませんでした。

 患者たちによく聞くと、「黒目の周辺がやや白っぽく濁っていることに、鏡の前で気づいた」と言います。「どんどん広がって中央まで白くなると大変だ」と、心配になったとのことでした。

 これは「 角膜環(かくまくかん) 」という状態です。角膜の周辺(特に上方や下方)に、加齢で少しずつ脂質が集まって白っぽく濁ります。濁りは角膜周辺に限られ、中央には広がりません。視力が落ちる心配もありません。

 もうおわかりですね。角膜環は角膜だけに起こります。白内障は水晶体の濁りなので、違うものです。

白内障の手術を勧められず…「網膜に問題があるから」

 続いて、60歳代の女性Yさんのケースを紹介します。ここでも白内障についての誤解がありました。

 右の目がかすむので近所の眼科医を受診したところ、白内障の手術をするように言われました。 

 Yさんは「すぐに手術を勧める医師には要注意」という文章をどこかで読んでいたので、「よく考えなくては――」と思い、別の医師にも診てもらいました。来院理由を伝えると、最初の眼科よりも検査が多くあり、診察時間も長くかかりました。そして、その医師は「白内障の手術をしても、あまり良くならないでしょうね」と言いました。

 理由を聞くと、「網膜に問題があるから」ということでした。Yさんは詳しい理由がよく理解できなかったため、眼科専門病院の私の外来にやって来ました。

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201505_第4回「読売医療サロン」_若倉

若倉雅登(わかくら まさと)

井上眼科病院(東京・御茶ノ水)名誉院長
1949年東京生まれ。北里大学医学研究科博士課程修了。グラスゴー大学シニア研究員、北里大学助教授、井上眼科病院副院長を経て、2002年から同病院院長。12年4月から現職。日本神経眼科学会理事長、東京大学医学部非常勤講師、北里大学医学部客員教授などを歴任し、15年4月にNPO法人「目と心の健康相談室」を立ち上げ副理事長に就任。「医者で苦労する人、しない人---心療眼科医が本音で伝える患者学」、「健康は眼に聞け」「絶望からはじまる患者力」(以上春秋社)、「目の異常、そのとき」(人間と歴史社)、医療小説「茅花流しの診療所」(同)など著書多数。専門は、神経眼科、心療眼科。予約数を制限して1人あたりの診療時間を確保する特別外来を週前半に担当し、週後半には講演・著作活動のほか、NPO法人、患者会などでのボランティア活動に取り組む。

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