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医療・健康・介護のコラム
成長期に起きる野球肘 「治す」から「防ぐ」へ
どうも、大関です。春になり、選抜高校野球、プロ野球の開幕と野球の話題が増えました。また、大リーグで華々しいスタートを切った二刀流の大谷選手からも目が離せませんね。投げる動作を繰り返し行う野球では、時に肩や肘の故障の話題が出ます。今回は投球動作で生じる成長期の肘の痛みについてお話しします。
中学生野球投手のケースです。
中学2年生のI君は小学3年生の時に野球を始め、ずっとピッチャーでした。しかし、ここ数か月、投球時に肘の内側の痛みを感じることがあり、投げるのを控えて痛みが軽くなっては、また投げて痛くなる、ということを繰り返しています。痛みは徐々に消えにくくなってきました。
投球動作は様々な運動の連鎖
投球と聞けば、肩や肘が重要なのはイメージできますね。しかし、投球動作をよくみると、下半身から体幹、そして腕へと力が伝達されていきます。そのため、股関節や体幹などの動きがとても大切になります。知らないうちにこれらの機能が低下すると、体が早く開いたり、肘が下がった投げ方になったりして、結果的に肩や肘に過剰な負荷が加わります。
肩や肘を痛めるのは、単に投げすぎだけが問題ではありません。投球フォームや、それ以前の身体の使い方、柔軟性などが大切なのです。これは野球だけでなく、バレーボールやテニスなどでも同じです。
投球動作による肘の痛みは「野球肘」と呼ばれますが、この言葉は野球のボールを投げる時に肘が痛い、という状態を表しているだけです。まだ骨が成熟していない成長期は、軟骨の中にある骨端核(こったんかく)という部分を中心に骨が作られていきますが、力学的に弱いこの部位に痛みが起こる野球肘は「内側上顆(じょうか)障害」などと名付けられています。成長期では肘の内側が痛くなるケースが圧倒的で、また痛みも徐々に出てくることが多いのです。
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