文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

スポーツDr.大関のケガを減らして笑顔を増やす

医療・健康・介護のコラム

成長期に起きる野球肘 「治す」から「防ぐ」へ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

 どうも、大関です。春になり、選抜高校野球、プロ野球の開幕と野球の話題が増えました。また、大リーグで華々しいスタートを切った二刀流の大谷選手からも目が離せませんね。投げる動作を繰り返し行う野球では、時に肩や肘の故障の話題が出ます。今回は投球動作で生じる成長期の肘の痛みについてお話しします。

 中学生野球投手のケースです。

 中学2年生のI君は小学3年生の時に野球を始め、ずっとピッチャーでした。しかし、ここ数か月、投球時に肘の内側の痛みを感じることがあり、投げるのを控えて痛みが軽くなっては、また投げて痛くなる、ということを繰り返しています。痛みは徐々に消えにくくなってきました。

投球動作は様々な運動の連鎖

 

成長期に起きる野球肘 「治す」から「防ぐ」へ

 投球と聞けば、肩や肘が重要なのはイメージできますね。しかし、投球動作をよくみると、下半身から体幹、そして腕へと力が伝達されていきます。そのため、股関節や体幹などの動きがとても大切になります。知らないうちにこれらの機能が低下すると、体が早く開いたり、肘が下がった投げ方になったりして、結果的に肩や肘に過剰な負荷が加わります。

 肩や肘を痛めるのは、単に投げすぎだけが問題ではありません。投球フォームや、それ以前の身体の使い方、柔軟性などが大切なのです。これは野球だけでなく、バレーボールやテニスなどでも同じです。

 投球動作による肘の痛みは「野球肘」と呼ばれますが、この言葉は野球のボールを投げる時に肘が痛い、という状態を表しているだけです。まだ骨が成熟していない成長期は、軟骨の中にある骨端核(こったんかく)という部分を中心に骨が作られていきますが、力学的に弱いこの部位に痛みが起こる野球肘は「内側上顆(じょうか)障害」などと名付けられています。成長期では肘の内側が痛くなるケースが圧倒的で、また痛みも徐々に出てくることが多いのです。

id=20180411-027-OYTEI50006,rev=2,headline=false,link=true,float=center,lineFeed=true

1 / 2

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

oozeki-nobutake_prof

大関 信武(おおぜき のぶたけ)

 整形外科専門医・博士(医学)、読売巨人軍チームドクター、日本スポーツ医学検定機構代表理事、日本スポーツ協会公認スポーツドクター

 1976年大阪府生まれ、2002年滋賀医科大学卒業、14年横浜市立大学大学院修了。15年より東京医科歯科大学勤務。野球、空手、ラグビーを経験。スポーツ指導者などへのスポーツ医学知識の普及を目指して「スポーツ医学検定」(春、秋)を運営している。東京2020オリンピック・パラリンピックでは選手村総合診療所整形外科ドクター。

スポーツDr.大関の「ムーヴ・オン!」はこちら

スポーツDr.大関のケガを減らして笑顔を増やすの一覧を見る

コメントを書く

※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。

※個人情報は書き込まないでください。

必須(20字以内)
必須(20字以内)
必須 (800字以内)

編集方針について

投稿いただいたコメントは、編集スタッフが拝読したうえで掲載させていただきます。リアルタイムでは掲載されません。 掲載したコメントは読売新聞紙面をはじめ、読売新聞社が発行及び、許諾した印刷物、読売新聞オンライン、携帯電話サービスなどに複製・転載する場合があります。

コメントのタイトル・本文は編集スタッフの判断で修正したり、全部、または一部を非掲載とさせていただく場合もあります。

次のようなコメントは非掲載、または削除とさせていただきます。

  • ブログとの関係が認められない場合
  • 特定の個人、組織を誹謗中傷し、名誉を傷つける内容を含む場合
  • 第三者の著作権などを侵害する内容を含む場合
  • 企業や商品の宣伝、販売促進を主な目的とする場合
  • 選挙運動またはこれらに類似する内容を含む場合
  • 特定の団体を宣伝することを主な目的とする場合
  • 事実に反した情報を公開している場合
  • 公序良俗、法令に反した内容の情報を含む場合
  • 個人情報を書き込んだ場合(たとえ匿名であっても関係者が見れば内容を特定できるような、個人情報=氏名・住所・電話番号・職業・メールアドレスなど=を含みます)
  • メールアドレス、他のサイトへリンクがある場合
  • その他、編集スタッフが不適切と判断した場合

編集方針に同意する方のみ投稿ができます。

以上、あらかじめ、ご了承ください。

最新記事