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医療・健康・介護のコラム
成長期に起きる野球肘 「治す」から「防ぐ」へ
痛い時は投球動作の中止とリハビリ
投球時に肘が痛い場合、基本的には投球動作を一定期間中止します。また、その間に肩や肘のみでなく、下半身や体幹の機能を改善することで、投球再開後の再発予防につなげます。
投球フォームが悪くて肩や肘に負担をかけている場合は、フォームの修正も必要です。投球を再開するタイミングは、痛みなどの症状が目安になりますが、X線検査や超音波検査などの所見も参考にします。
それでは、Iさんの経過です。
約3週間、投球動作をやめると、肘の内側を押した時の痛みは消えました。肘の曲げ伸ばしをしても痛みはなく、問題はありません。この間、理学療法士から教わった股関節のストレッチや胸椎のストレッチなどを毎日自宅で行っていました。シャドーピッチングから投球動作を始め、段階的に軽いキャッチボールへ進み、約2か月後にはピッチャーとして投球再開しました。
故障する前の予防が大切
近年は、肩や肘が痛くなってから治すのではなく、痛みが出ないための予防が注目されています。実際に肩や肘の痛みを減らす研究成果を挙げたプログラムには、 9つのストレッチと9つのトレーニング があります。
また、肘のスポーツ障害を早期に発見するため、古くから徳島県で行われている野球肘検診もあります。近年では各地で行われるようになりました。指導者や保護者ができる野球肘早期発見の 7つのポイント も、野球に関わっている方はぜひチェックしてください。投球数制限に関する提言もありますが、まだ統一された基準として採用されてはいません。
私も小・中学校で7年間野球をして、何度か肘を痛めました。当時はスポーツ障害に関する情報は、あまりありませんでした。2020年東京オリンピックで採用される野球。子供たちのために、より良い競技環境を構築していきたいですね。(大関信武 整形外科医)
【スポーツ医学検定のご案内】
私たちは、スポーツに関わる人に体やけがについての正しい知識を広めて、スポーツによるけがを減らすために、「スポーツ医学検定」を実施しています。スポーツ選手のみでなく、指導者や保護者の方も受けてみませんか(誰でも受検できます)。
第4回スポーツ医学検定
2018年11月25日(日曜)
*5月20日に行う第3回スポーツ医学検定の申し込みは終了しました。第4回の申込開始については、ホームページにて案内します。
本文のイラストや写真の一部は、「スポーツ医学検定公式テキスト」(東洋館出版社)より引用しています。
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