甲状腺機能低下症
血管内皮機能検査で低い値
36歳で甲状腺機能低下症と診断されて以来、薬を飲んでいて、今は正常です。血管内皮機能検査を受けたら、0・66で非常に低いと言われました。血管が弱っているそうですが、どのようなことを意味するのでしょうか。(71歳女性)
早期血管障害 適切な対処を
山科章 東京医科大学病院健診予防医学センター長(東京都新宿区)
血管の内側の表面は、一層の内皮細胞からできています。内皮細胞は、様々な物質を放出して血管の収縮や拡張、血液成分の透過、血液を固めたり溶かしたりなどの調節を担います。
内皮の機能を調べる検査に「血流依存性血管拡張反応検査(FMD)」があります。血圧測定のように腕を数分締めて急に緩め、肘部分を走る動脈の血管径の増加率を見ます。ほかに、片方の腕を締め、もう片方は締めず、両手の指先にサック状の装置をはめて脈拍の違いをみる「反応性充血指数(RHI)」もあります。
FMDは6%未満、RHIは1・67以下の場合、異常とされます。質問者の検査はRHIとみられます。
内皮機能は加齢とともに低下します。高血圧、脂質異常、糖尿病、喫煙などの影響を受けやすいのも特徴です。機能が低下すると動脈硬化の進行が早まり、心筋
機能低下の状態は早期の血管障害です。元に戻る可能性もあるので、適切に対処すれば動脈硬化の進行を早い段階で予防できます。数値は測定時の状況で変動しやすく、室温、安静かどうか、服薬、食事なども影響します。検査は一定の測定条件で受けましょう。