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失神を知ろう(2)突然死を防いだ妻の証言

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失神を知ろう(2)突然死を防いだ妻の証言

定期受診を終えて心臓の検査結果を確認する早乙女さん夫妻

 「最近、寝ている時に苦しそうにうめき声をあげるので心配なんです」

 2013年夏、昭和大学病院(東京都品川区)の診察室。都内の主婦、早乙女香奈子さん(42)は、循環器内科医の小林洋一さんに、夫の健二さん(46)の様子を伝えた。

 健二さんは35歳の時、職場健診で初めて受けた心電図検査の波形から、「ブルガダ症候群の疑いがある」と言われていた。いわゆる「ぽっくり病」。不整脈の一種で、心臓がけいれんする。血液を送り出せなくなると心停止し、失神することがある。そのまま意識が戻らず、命を落とすおそれもあった。

 ただ、健二さんが指摘された波形は、健康な人にも出る。家族に突然死した人がいたり、失神など不整脈を疑う症状があったりすれば精密検査が必要だが、そうでない場合は経過観察となる。

 健二さんは経過観察中で、この日は久しぶりの受診。香奈子さんの心配そうな訴えに、小林さんの表情が厳しくなった。夜中のうめき声は、不整脈で失神したせいかもしれない。

 「寝ている時、ほかに気になる点はなかったですか」

 「あっ」。夫婦で顔を見合わせた。一度だけ、朝起きたら布団がぬれていて、びっくりしたことがあった。

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