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精神疾患で措置入院した患者に支援計画…退院後最大1年間、厚労省が指針通知

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 厚生労働省は、精神疾患で措置入院した患者の退院後の支援に関する指針を策定し、都道府県などに通知した。自治体が医療機関と協力して支援計画を作成し、退院から最大1年間支援することが柱だ。一方、2016年7月に相模原市の知的障害者施設で起きた殺傷事件を受け、再発防止策を盛り込んだ精神保健福祉法改正案については今国会への提出を断念する。

法改正案提出は今国会断念

 指針は3月27日付。措置入院患者が退院後、本人の同意が得られた場合に自治体が中心となって支援を行う。支援計画には退院後の生活に関する要望や、必要な医療面の支援、支援機関の担当者の連絡先を記入することなどを求めた。計画は原則として入院中に作成し、患者本人や家族、入院先の病院関係者らで協議して決める。一方、「患者の監視強化につながる」との懸念に配慮し、防犯目的で警察が枠組みに参加することは認めない。

 精神保健福祉法は、自治体が必要に応じて患者の相談支援を行うと規定しているが、ルールを明文化して実施している自治体は1割程度にとどまっている。このため、厚労省が支援の具体的な手順を指針にまとめた。退院後も患者が孤立せず、安心して生活できる環境を整える狙いがある。

 同法改正案では、措置入院患者が退院後も継続支援することを自治体に義務づけた。相模原の事件では、加害者が事件前に措置入院していたが、退院後に自治体などから十分な支援を受けられなかったとの指摘を踏まえたものだ。警察と連携して患者の支援体制を話し合うことも盛り込んだ。

 ただ、警察の関与に対して野党が「精神障害者が監視され、人権侵害になる」と反発。関係団体からも、精神障害と事件を結びつけることが偏見につながるとの批判が出ていた。

 厚労省は昨年2月に改正案を国会に提出したが、同9月の衆院解散で廃案となった。今国会で再提出を目指したが、野党などの反発が根強いことから見送り、法改正を待たずに支援強化を進めることにした。

          ◇

【措置入院】  精神保健福祉法に基づき、精神障害で自傷・他害の恐れがある人を強制的に入院させる制度。警察の通報などを受け、精神保健指定医2人が入院の必要性を判断し、知事や政令市長が決定する。

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