心療眼科医・若倉雅登のひとりごと
医療・健康・介護のコラム
目が不自由になって生活できない…地域包括支援センターの救いの手は届く?
持病の悪化などで目が不自由になり、日々の暮らしが困難になってしまうことがあります。頼れる家族などがいない時、だれに相談して、どうすればよいのでしょうか。
観光ガイドの男性Mさん(59歳)は20年前に糖尿病と診断されたものの、多忙にまぎれて、薬の服用や生活の改善などが十分にできず、病気が進行してしまいました。糖尿病網膜症、続発緑内障、腎症といった合併症を起こし、3年前からはインスリン治療を受けています。
Mさんは、目の症状では 硝 子体出血を繰り返していました。眼科医からは「治療を続けるように」と厳しく言われていましたが、出血がなくなるとすぐ通院をやめてしまっていたため、とうとう、両目とも明暗しかわからない「 光覚弁 」になってしまいました。
ケアマネジャー派遣…自宅からの通院生活プランが軌道に
Mさんは、収入の道も閉ざされました。入院して手術しましたが、視力は回復しませんでした。
頼れる人はなく、「このまま一人暮らしを続けるしかない」とMさんは考えていましたが、一人で買い物や料理をすることはおろか、通院も困難な状態でした。
退院指導に困った看護師は、院内のソーシャルワーカーに相談しました。その結果、Mさんの住む地域の地域包括支援センターに話がつながり、ケアマネジャーがつくことになりました。
ケアマネジャーの協力を得て、Mさんは、介護保険の適用を申請し、通院しながら自宅で暮らすプランが軌道に乗りだしました。
地域包括支援センターは、2005年の介護保険法改正で創設されました。各人が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けるため、住まい、医療、介護、生活支援、介護予防のサービスを包括的に受けることができるケアシステムの中心的役割を担うところです。
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