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[初めての介護](12)無理せず周囲の協力得て

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仲間と話せる場 大事

[初めての介護](12)無理せず周囲の協力得て

週末、グループホームの居室で認知症の母親(右)と話しながらくつろぐ女性。平日はお互いの生活を大切にするため、あえてホームを訪問しないことにしている(2月3日、横浜市内で)

 親などの介護は、いつまで続くかわからない。何もかも自分でやらなくてはと思うと、息切れしてしまうこともある。周囲の協力を上手に得ながら、無理せず介護を続けることが大切だ。

 横浜市内の会社員の女性(43)は毎週末、認知症の母親(77)が暮らすグループホームを訪れ、一緒に時間を過ごす。ホームは自宅から歩いて5分。だが、平日は会いに行かないと決めている。「自分と母親、それぞれの生活ペースを守るため」という。

 女性の母親に認知症の症状が表れたのは約10年前。当初、女性は介護保険を使わず、自宅で一人で面倒を見た。母親は家の外に出てしまうこともあるため、職場から何度も電話をかけて、家にいるかを確認した。「認知症であることを近所に知られるのは、母に悪いと思った。一人っ子の私が頑張らなくちゃと必死だった」と話す。

 しかし数年後、母親は外を 徘徊はいかい して警察に保護された。「まだ家で介護できる」と思ったが、同じように介護をしている仲間らに「自分の人生も考えて」と言われ、3年前に母をホームに入所させた。「7年ぶりに友達が夕食に誘ってくれ、母には悪いがうれしかった。あのままでは、押しつぶされていたかもしれない」と振り返る。

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 「真面目で責任感が強い人ほど、すべて自分でやろうとする傾向がある」。東京都介護支援専門員研究協議会副理事長の高岡里佳さんは指摘する。

 ケアマネジャーが介護サービスの利用を勧めても、「まだ大丈夫」と断ったり、親を施設に短期間預けた後、罪悪感に襲われたりする人も目立つ。認知症ケアや入浴介助などの専門的な介護は、プロの介護職員に任せるという気持ちの切り替えが重要だという。

 心の負担を軽くするためには、介護をしている人たちが集まる場に参加するとよい。自治体や支援団体が主催しており、介護をしている人同士で悩みを打ち明けたり、相談したりできる。高岡さんは「周囲の人に自分の状況を伝えられれば、必要な助けが得やすくなる。完璧を目指さないことが大切」と強調する。

 介護をする人たちの支援グループ「ワーク&ケアバランス研究所」(東京)代表の和氣美枝さんは、「介護を理由に自分の生活を変えるべきではない」とアドバイスする。和氣さんも、母親の介護のために離職や転職をした経験を持つ。「仕事だけでなく、習い事やボランティア活動、友達づきあいをやめると、後悔や負担感が募りやすい」と話す。

 介護施設を運営するNPO法人「楽」の理事長で、在宅介護の家族を支えてきた柴田範子さんは、「初めての介護では、頑張りすぎているという自覚もないままに無理を重ねてしまうケースが目立つ。早い段階で愚痴を言い合える仲間を見つけ、ひとりで抱え込まず、うまく手を抜けるといい」と話している。

ヘルパーなし 虐待深刻に

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 負担感が募ると、暴力をふるったり、暴言を吐いたりする虐待につながりかねない。厚生労働省は、家族らからの高齢者虐待について「無視する」から「生命にかかわる」まで深刻度を5段階で調査。介護サービスを受けているケースの方が、虐待の深刻度が低い傾向があることがわかった。

 介護保険を使えば、介護にかかった費用の1~2割の自己負担で済むが、利用額には上限がある。ケアマネジャーに「上限を超えても構わない」と伝え、全額自費のサービスも含めて計画を立ててもらうとよい。事業者や内容によって異なるが、ヘルパーは1時間3000~4000円、デイサービスは5000~1万円前後というところが多い。介護に月いくらまで支出できるかも調べておくことが重要だ。

 (大広悠子)

 ◎「初めての介護」は今回で終わります

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