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電動自転車 送迎に活躍
子ども同乗 転倒注意
電動アシスト自転車を、保育園や幼稚園への子どもの送迎に利用している人は多いだろう。電動モーターがペダルをこぐ力を補助するため、子どもを乗せても楽に運転できる。一方で、車体の重さなど特有の注意点もある。
東京都葛飾区の女性(32)は昨年1月、電動アシスト自転車の後ろに長男(6)、前に次男(3)を乗せ、押して歩いていた時にバランスを崩し、自転車ごと転倒した。次男は無事だったが、長男は地面に右手をついて骨折。自転車は前日に購入したばかりで、女性は「重さに慣れていないのに無理をした」と悔やむ。
電動アシスト自転車が関係する交通事故は増えている。警察庁によると、2008年の1125件から17年には1988件に増加。子どもら同乗者の死傷者も36人から、4倍強の153人に増えた。
注意したいのが車体の重さだ。チャイルドシートが付いた一般的なものは約30キロ。通常の自転車より10キロほど重い。子ども2人を前後に乗せると、親も含めて100キロ以上になることも。このため運転中にバランスを崩し、立て直せずに転倒してしまうケースもある。
「自転車の安全利用促進委員会」(東京)が14年、電動アシスト自転車を利用する20~40歳代の主婦に行った調査によると、74・3%の人が「子どもを乗せている時に危険だと感じたことがある」と回答。「自分一人で乗っている時に危険だと感じたことがある」(35・6%)の2倍以上に上った。
両足が地面に着くものを
安全に乗るためのポイントとして、自転車販売大手「あさひ」(大阪市)営業部の佐藤千夏さんは「重い車体を支えられるよう、両足がしっかり地面に着く自転車を選んでください」と話す。お薦めはタイヤの大きさが20インチのもの。重心が低いため安定しやすく、子どもを乗せたり、降ろしたりするのも楽だ。
身長に合った自転車を選ぶためにも、実物を見て購入したい。法律の基準に適合していることを示す「型式認定」(国家公安委員会)や、安全性を認定する「幼児2人同乗基準適合車」(自転車協会)などのシールが貼られているかを確認しておけば安心だ。
運転時は、ある程度スピードが出ていると安定して走行できるが、低速や押し歩きの際は、車体の重みでハンドルをとられがちになる。自転車ジャーナリストの遠藤まさ子さんは「歩行者や障害物の多い歩道をゆっくり走るのは実は危険です」と指摘する。多少遠回りになっても、走行しやすい道を選びたい。
子どものヘルメットとシートベルトの着用も徹底する。「自転車の死亡事故では死因の7割が頭部損傷。『かっこいいね』と薦めたり、親子でおそろいをかぶったりと、子どもが楽しくなるよう工夫して」と遠藤さん。
自転車の交通事故では、歩行者をはねて加害者になることもある。安全運転の徹底はもちろんだが、賠償に対応した自転車保険への加入も検討したい。
■電動アシスト自転車に子どもと乗る際の注意点
・ 両足が地面にしっかり着くものを選ぶ
・ 子どもを乗り降りさせる際は必ず、ハンドルロックをかける
・ ヘルメットをかぶらせてからチャイルドシートに乗せる。シートベルトも締める
・ 自転車のバランスを安定させるため、子ども2人を乗せる際は「後ろ、前」、降ろす時は「前、後ろ」の順
・ 子どもを乗せたまま自転車から離れない
・ 楽に走行できるため、タイヤの空気が抜けていることに気づきにくい。月に一度は空気を入れる
(佐藤さん、遠藤さんの話をもとに作成)
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