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[南杏子さん]祖父の看取りが原体験

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[南杏子さん]祖父の看取りが原体験

 大学時代、寝たきりの祖父の介護をし、家で 看取みと りました。実家を離れ、祖父母の家で暮らしていた時です。介護保険はなく、おむつ替えから車いすの介助まで、祖母と2人で介護していました。昼夜を問わず、呼ばれれば祖父の元に駆けつけていましたね。

 友人に相談もできず、クラブ活動も我慢する日々。祖父が亡くなると、悲しみよりもまず、介護に追われる生活が終わったことにぼうぜんとするばかりでした。

 大学卒業後、8年ほど編集プロダクションや出版社で働きました。乳幼児の病気を取材して記事を書くうち、「もっと知りたい」と思い、一念発起して私が33歳、長女が2歳の時に医学部に編入しました。

 医師としては遅いスタートだったので、当直などは体にこたえました。でも、働いた時期があったからこそ、学ぶ喜びは人一倍強く、猛勉強しました。

 終末期医療や在宅医療をテーマに小説を書いたのは、介護体験と医師として多くの死に向き合った経験があったから。人はいつか死ぬということや、揺れる家族の思いを伝えたかった。新作は、患者と医者の信頼関係を巡る作品です。医師も人間であり、思い悩む姿が伝わればと願っています。

 10年前、夫と一緒に通い始めた小説教室で、私の方がはまってしまいました。私に刺激されたのか、医学生の娘も小説を書くようになり、家族であれこれ意見を言い合っています。楽しいですよ。(聞き手・粂文野、写真・佐々木紀明)

 ◇ みなみ・きょうこ  1961年、徳島県生まれ。医師で作家。2016年に在宅医療や看取りをテーマにした小説「サイレント・ブレス」(幻冬舎)で作家デビュー。今年1月、第2作「ディア・ペイシェント」(同)を出版。

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