文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

本ヨミドク堂

コラム

『母が若年性アルツハイマーになりました。~まんがで読む家族のこころと介護の記録』 Nicco(にっこ)著

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

ユーモアと愛情たっぷりに描く認知症介護の現実

『母が若年性アルツハイマーになりました。~まんがで読む家族のこころと介護の記録』 Nicco(にっこ)著

 著者は千葉県在住のイラストレーター。若年性アルツハイマーを発症した母を、2016年に亡くなるまでの18年間、実家で介護した。本書は、認知症介護の日常を漫画で描いている。

 1998年の春。保育園の遠足に行き渋った娘を連れて近くの実家を訪ねた著者は、部屋にレジャーシートを敷いて遠足ごっこをした。それを楽しそうに見ていた母に、後日、その話をしたところ「そんなことあったかしら?」。物忘れが激しいため、57歳で国立病院の精神科を受診したのが始まりだった。

 実家に行くとラップが山ほど買ってあったり、話し出すと最後は必ず「幼い日に継母に冷たくされて (つら) かった」という話になったり。「お母さんが壊れていく……」と、現実を受け入れられず、接するのが耐えられなくなった時期もあった。しかし、オーストラリアの認知症当事者クリスティーン・ブライデンさんの著書「私は私になっていく」(クリエイツかもがわ)と出会い、母親自身が一番苦しみ、絶望感を抱いていることに気づく。

 きれいごとだけではない。介護を担う家族の葛藤やネガティブな感情までも隠すことなく描いている。それでいて重苦しい気持ちにならないのは、ユーモアと愛情たっぷりのイラストで包まれているからだ。デイサービスやショートステイなど、介護保険のサービスをどう利用したかも詳しく紹介されていて参考になる。

 09年から8年間にわたり、公益社団法人「認知症の人と家族の会」千葉県支部の会報誌に掲載された連載をまとめた。エピローグにある「お母さん、お父さんは元気だよ。私、今なら思うよ。お父さんと結婚して良かったね」との言葉が心に残る。(ペンコム 1500円税別)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

本ヨミドク堂

本ヨミドク堂
ヨミドクター編集室が注目する新刊書を紹介します。医療、健康、介護、福祉関連の書籍を幅広く取り上げていきます。

本ヨミドク堂の一覧を見る

最新記事