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認知症介護あるある~岡崎家の場合~

医療・健康・介護のコラム

捜索中の警察官が素通り? 若くても認知症です!

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無理解な言葉に傷つき、隠すことを選んだ岡崎家

 今でこそ、認知症はもちろん若年性認知症の啓発活動などもあり、社会の理解がかなり広がってきました。しかし、父さんが発症した20年前は、自分も含めて「若年性認知症」という言葉すらほとんど知られていない状態でした。

 そんなこともあり、それまでとは様子の違う父さんを見た人から、まだ若いのに人として終わった……というようなことを言われたり、私自身も「じゃあ、結婚は難しいね」など、未来が抱けなくなるような言葉を投げかけられることが少なくありませんでした。そして、私と母さんは「周りの人には、父さんが認知症だということは隠していよう」という選択をしたのです。

 認知症の人やその家族に対して、「病気のことをオープンにしてみんなに助けてもらおう」という意見をよく聞きます。確かにその方が、たくさんのサポートも受けられ、気持ち的にも救われることもあるでしょう。一方で、つらい思いをした経験者だからこそ「そのとおり! オープンにした方がいい」と、同じような立場の人に気安く言えないのも事実なのです。

本人も葛藤 “少数派”のつらさ

 もちろん本人だって、若年性認知症ゆえのつらさを抱えています。

 介護サービスは、65歳以上の高齢者が主な対象です。デイサービスなどを利用しようと思っても、親子ほど年齢の離れたお年寄りの中にポツンと一人、若い人がいるといった感じになってしまいます。

 父さんの場合は、一番最初にお世話になったケアマネジャーの配慮で、中途障害者を対象としたリハビリセンターのようなところに通うことができました。しかし数年がたち、「これ以上は回復の見込みがない」として、やっと見つけた居場所から“卒業”しなくてはならなくなりました。

 最後の日にもらった「卒業証書」を眺め続けて、ひとり静かに涙を流していた後ろ姿を私は今でも忘れることができません。そんな同年代の元気な人たちと違う親の姿を見て切なくなるのも、「若年性認知症介護あるある」なのです。

困っていても気づいてもらえない

 また、見た目が若いため、知らない人には「認知症」と本人が結び付きづらいことも多いです。ある年のお正月、黙って一人で初詣に出かけたまま行方が分からなくなり、警察に捜索をお願いしたときも、なかなか見つけ出してもらうことができませんでした。近所の人に発見してもらい、なんとか無事に帰宅した父さんは「何度も警察官とすれ違った」と言っていて、必死に探していたみんなでズコーッとなりました。

 ……と、若くしての発症で、大変だったり、切なかった話が多くなってしまいましたが、逆に“良かった”“救われた”こともいろいろあるんです。そのあたりもみなさんにお話ししたい!というわけで、次回も「若年性認知症介護」についてのお話は続きます。(岡崎杏里 ライター)

登場人物紹介はこちら

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認知症介護あるある~岡崎家の場合~

岡崎杏里(おかざき・あんり)
 ライター、エッセイスト
 1975年生まれ。23歳で始まった認知症の父親の介護と、卵巣がんを患った母親の看病の日々をつづったエッセー&コミック『笑う介護。』(漫画・松本ぷりっつ、成美堂出版)や『みんなの認知症』(同)などの著書がある。2011年に結婚、13年に長男を出産。介護と育児の「ダブルケア」の毎日を送りながら、雑誌などで介護に関する記事の執筆を行う。岡崎家で日夜、生まれる面白エピソードを紹介するブログ「続・『笑う介護。』」も人気。

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日野あかね(ひの・あかね)
 漫画家
 北海道在住。2005年にステージ4の悪性リンパ腫と宣告された夫が、治療を受けて生還するまでを描いたコミックエッセー『のほほん亭主、がんになる。』(ぶんか社)を12年に出版。16年には、自宅で介護していた認知症の義母をみとった。現在は、レディースコミック『ほんとうに泣ける話』『家庭サスペンス』などでグルメ漫画を連載。看護師の資格を持ち、執筆の傍ら、グループホームで介護スタッフとして勤務している。

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