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「こころとからだ私らしく」 フォーラム「がんと生きる」(大阪)

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[フォーラム「がんと生きる」 「こころとからだ私らしく」](下)仕事と両立サポート

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お金の悩み

[フォーラム「がんと生きる」 「こころとからだ私らしく」](下)仕事と両立サポート

山口竜司さん

  町永  がん医療の柱は苦痛の緩和です。患者が感じる苦痛は、どんなものですか。

  市原  がんに伴う苦痛をトータルペイン(全人的な苦痛)として説明されることがよくあります。身体的、精神的、社会的、スピリチュアルな痛みという四つの側面があると言われます。

 例えば、身体的な苦痛は、体の痛みや 倦怠けんたい 感、食欲不振が挙げられます。精神的な苦痛は、不安やいら立ち、抑うつ気分。社会的な苦痛は家庭内の役割の変化、仕事や経済的な問題です。

 がんは治る時代と言われても、死への恐怖はつきまといますし、過去を振り返って自責や後悔の念にさいなまれる人もいます。これがスピリチュアルな苦痛です。

 この四つの痛みは患者の中で別々に起こっているのではなく、それぞれが複雑に関連しています。身体に痛みがあれば不安になり、痛みで動けなければ仕事にも行けない。生きがいを失うという苦痛も感じると思います。

  松浦  かつては、とにかく治せばいいという時代でした。今はいろいろな苦痛が重なっている患者への対応が求められています。

  町永  お金にかかわる問題での不安も、「痛み」です。

  山岸  貯蓄をいつまで自分に投資できるか、不安です。

  山本  かつては支払いをしてから高額療養費の返還請求申請をしなければならず、手術や抗がん剤治療の後、会計で数万から数十万かかったと言われて驚きました。がんと告知された時は、退職しないといけないのかと考えました。治療開始前に主治医から「治療を続けながらでも仕事はできますよ」と言ってもらえ、心強かったです。

社労士団体、病院と連携

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市原香織さん

  町永  社会保険労務士(社労士)の関さん、患者へどんなサポートをしていますか。

   義母を肝臓がんで亡くした際に、お金の相談ができる先がなくて困っている患者や家族がいることを知りました。2017年10月から大阪府社会保険労務士会が「がん患者等就労支援特別部会」を設立し、府内の九つのがん診療連携拠点病院と協定を結び、医師や看護師、がん相談支援センターの相談員から、無料で電話相談を受け付けています。がんの知識を得るための社労士対象の研修もしています。社労士には、現役の看護師もいます。

  松浦  患者さんはいろいろな悩みを持っていますが、ここ数年、お金や仕事の悩みが増えました。病院の医療スタッフだけでは対応が難しく、社労士との連携は非常にありがたいです。

  市原  以前、がん相談支援センターに所属していました。患者の中には、病院のどこに支援センターがあるのか知らない人もいますし、お金のことを相談していいのかと思われる人もいるはずです。相談員は丁寧に聞き取って、解決策を一緒に考えます。がんと診断されたら、必ず利用してほしいです。

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  町永  社労士が相談員をバックアップする形を取っているのも特徴的ですね。

   医療知識がない私たちは、患者から病状を伝えられても分かりませんので、医療関係の人たちに間に入ってもらって相談対応をしています。主治医や看護師ら医療関係者から話を聞き、社会保障制度の観点から何が必要かをピンポイントで情報提供します。

  町永  具体的には。

   傷病手当金、就業規則、安全配慮義務。重要なキーワードが三つあります。

 治療で働けなくなった場合、業務上なら労災保険が使えますが、がんの闘病には利用できません。傷病手当金という制度を使って、所得の補償をします。4日以上、会社を休むことになった場合、最長1年6か月、給付を受けることができます。

 以前はがん治療のために退職する人がたくさんいましたが、今はまず休職という形を取って治療に入るよう勧めています。

 会社には就業規則があります。休職期間が設けられていた場合、その期間を過ぎても会社に復職ができないと、退職になる場合があります。休職する前に、規則で休職期間の有無、期間の長さを確認しておくのが非常に重要です。

 安全配慮義務は、社員が安全に働くことに配慮して経営をしなくてはいけないという会社の義務です。副作用や後遺症などが仕事に影響する場合、きちんと会社に伝え、会社は配慮をして、仕事をしてもらうことが必要です。

  <がん相談支援センター>  医療費や就労など幅広い患者や家族の悩みに病院職員が答える窓口で、無料で利用できる。全国に約400あるがん診療連携拠点病院のすべてに設けられている。

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