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マラソン選手に多い「すねの痛み」の正体
どうも、大関です。先月行われた東京マラソンでは、設楽選手が日本人男子の記録を16年ぶりに塗り替える快挙がありました。トップレースに限らず、日本全国では数え切れないほどのマラソン大会が行われており、日本人は走るのが好きな国民と言えるでしょう。今回は、若いランナーに発生しやすい「シンスプリント」というスポーツ障害についてお話しします。
陸上長距離選手の高校生のケースです。
Hさんは中学時代から陸上部に所属しており、長距離が得意です。高校に入って、練習で走る距離が増えてくるにつれ、すねの内側に痛みを感じるようになりました。最初は練習後に痛みを感じる程度でしたが、徐々に走っている最中にも痛みを感じるようになったため、練習を休むことにしました。
画像診断では異常なく
シン(shin)とは、すねのこと。スプリントは「走る」「全力疾走する」という意味です。つまり、シンスプリントとは、ランナーに発生することが多い、すねの痛みを指します。
痛みが生じる部位は 下腿 の下から3分の1の内側で、長距離のランニングやジャンプを繰り返した結果生じる、典型的なスポーツ障害です。骨の上を押すと痛みがあるほか、片脚でジャンプした時やランニング時の着地で痛みが出ます。
シンスプリントは「すねの痛み」ということで幅広い解釈ができ、単純X線検査では疲労骨折のような異常が見られません。ただ、磁気共鳴画像(MRI)でしか判別できない初期の疲労骨折もあり、見分けるのは難しいと言えます。痛みの程度でも疲労骨折の有無を診断できませんから、痛みが続く場合は疲労骨折がないか検査しておく必要があります。
使いすぎが最大の原因
シンスプリントは、オーバーユース、つまり使いすぎが一番の原因です。ただ、それ以外の要因もあります。
身体的要因として、土踏まずと呼ばれる足のアーチの低下が挙げられます。また、シューズの内側のすり減りが早い人も発症しやすいのです。
また、足関節を内側に回す運動により骨膜に炎症をきたすことも考えられます。股関節の可動域や筋力が関係するという報告もあります。
硬い地面でのランニングやクッション性の少ないシューズなども原因となります。
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