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スポーツDr.大関のケガを減らして笑顔を増やす

医療・健康・介護のコラム

マラソン選手に多い「すねの痛み」の正体

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ただ安静にしているだけが治療ではない

 治療には、ランニングを休む期間を設けることも大切ですが、リハビリを行って身体的要因を改善することも大切です。

 足や足関節の可動域を広げて筋力を強化すること、ふくらはぎにある下腿三頭筋のストレッチをすること、股関節の周囲の可動域を広げて筋力を強化することなどです。また、低下した足のアーチを補うためのインソール作成やシューズ選びも重要です。

 リハビリの間も心肺機能を維持しておくためには、エアロバイクや水泳など、すねに痛みの出ないエクササイズをするのがよいでしょう。何か月もずっと痛みが続いている慢性のケースでは、痛みをゼロにすることはなかなか難しいです。そのため、できるだけ早い段階で対処することが大切です。

 それでは、Hさんの経過です。

 Hさんは約1か月間、走る練習を休みました。その間、エアロバイクでの運動、足の指や足関節の強化、股関節やお尻の周囲の筋力強化も行いました。片脚ジャンプで着地した時や押した時の痛みがなくなったことを確認して、軽いジョギングから始め、1週間ごとに走る距離を徐々に伸ばしました。そして約2か月後、通常の練習に復帰しました。

ランニングでは疲労骨折も要注意

 シンスプリントは高校生くらいの陸上選手に多く発生します。このほか、ランニングでは、中足骨や大腿骨、恥骨に疲労骨折が生じることもあります。炎症による膝や足の痛みが出ることもあります。

 かくいう私も、以前、富士山マラソンに出るため頑張ってランニングを続けた結果、大会後に膝の内側が痛くて走れない状態になり、MRIで異常が発見される事態になった苦い思い出があります。運動不足に体重増加という負の要素を考慮せず、ランニングするのはよくないですね。体重をすんなり落とすいい方法……何かないですかね。(大関信武 整形外科医)

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 私たちは、スポーツに関わる人に体やけがについての正しい知識を広めて、スポーツによるけがを減らすために、「スポーツ医学検定」を実施しています。スポーツ選手のみでなく、指導者や保護者の方も受けてみませんか(誰でも受検できます)。

 第3回スポーツ医学検定
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 本文のイラストや写真の一部は、「スポーツ医学検定公式テキスト」(東洋館出版社)より引用しています。

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大関 信武(おおぜき のぶたけ)

 整形外科専門医・博士(医学)、読売巨人軍チームドクター、日本スポーツ医学検定機構代表理事、日本スポーツ協会公認スポーツドクター

 1976年大阪府生まれ、2002年滋賀医科大学卒業、14年横浜市立大学大学院修了。15年より東京医科歯科大学勤務。野球、空手、ラグビーを経験。スポーツ指導者などへのスポーツ医学知識の普及を目指して「スポーツ医学検定」(春、秋)を運営している。東京2020オリンピック・パラリンピックでは選手村総合診療所整形外科ドクター。

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