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医療・健康・介護のコラム

医師と患者はわかり合えないのか? …「ディア・ペイシェント」

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疲れていても優しい気持ちで頑張る…医師たちの姿を知ってほしい

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――日本と海外の医療事情の違いをどう見ますか。

 イギリスでは、医師が1日に診る患者さんの数は決まっていました。専門医に診てもらう場合、1か月先ということもありました。日本では、来た患者さんを全員診るやり方ですから、すごく混んで時間に追われてしまいます。やはり政策的に改善しないと変わらないでしょうね。

――本の帯に「患者と分かり合うのはこんなにも難しいのか」とあります。すれ違いを修正していくために、必要なことは何ですか。

 良心的な気持ちで医療に取り組んでいる医師が大多数で、クレーマーではない患者さんが大多数という前提ですが、忙しいあまり医師がちょっと雑な態度をとったとしても、すぐにとがめずにおうように見てもらえたらうれしいですね。へとへとに疲れていても、優しい気持ちを持とうと頑張っている医師が大多数です。そういうところを、この小説で読み取ってもらえたらと思います。

――私も、使命感の強いお医者さんが多いと感じています。患者さんには、それをもっとわかってほしい。クレーマー患者ばかりみたいな言い方をするお医者さんもいますが、そうじゃないという気持ちでいてもらえたらと思います。

 そうですね。患者さんや家族がまっとうなことを言っているのに、クレーマー扱いする医師もいるかもしれません。ただ、そうした医師は少数派です。自分や家族の体のことについて疑問に思ったら、質問をするのは当然です。「ディア・ペイシェント」は、医師を信じられないと思っている患者さんに、ぜひ読んでほしいと思っています。

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高梨 ゆき子(たかなし・ゆきこ)
読売新聞医療部記者。
社会部で遊軍・調査報道班などを経て厚生労働省キャップを務めた後、医療部に移り、医療政策や医療安全、医薬品、がん治療、臓器移植などの取材を続ける。群馬大病院の腹腔鏡手術をめぐる一連のスクープにより、2015年度新聞協会賞を受賞。著書に「大学病院の奈落」(講談社)がある。

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