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肝細胞の再生力、化合物で向上…重症肝硬変の改善などに期待

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 人の肝臓の細胞(肝細胞)に2種類の化合物を加えて若返らせ、強い再生能力を持たせることに成功したとの研究結果を、国立がん研究センター研究所などのチームがまとめた。重症の肝硬変などの再生医療につながる可能性があるという。21日に横浜市で開かれる日本再生医療学会で発表する。

 肝細胞は通常あまり増えないが、ウイルス感染などで肝炎になると活発に増殖する状態に変わり、傷ついた組織を再生しようとする。同研究所の勝田毅研究員らのチームは、人の肝細胞に、細胞の増殖などに関わる80種類の化合物を様々な組み合わせで加えた。すると、うち2種類を同時に加えると、ウイルスに感染した時と似た状態になり、急速に増殖した。

 この細胞を慢性肝炎のマウスの肝臓に移植すると、8週間後に肝臓の9割以上が人の肝細胞に置き換わった。肝機能の指標になるアルブミンの量も、人の血液に近い濃度で分泌した。

 肝臓の再生では、様々な細胞に変わるiPS細胞(人工多能性幹細胞)などから肝細胞へ変化させる研究が行われている。だが現段階では、この細胞をマウスに移植しても肝臓を完全に再生しない。アルブミンの量も今回の1万分の1程度にとどまっているという。

 チームの落谷孝広・同研究所分野長は「重症の肝硬変や非アルコール性の肝炎、肝がんなどの再生医療につなげたい」と話す。

 宮島篤・東京大教授(分子細胞生物学)の話「複数の遺伝子を導入して作るiPS細胞より、化合物を使った方が安全性は高いだろう。肝細胞をどのように入手するかが課題だ」

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