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僕、認知症です~丹野智文44歳のノート

コラム

車と私、車と認知症(下)認知症だと運転が危ない?

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高速道路の逆走、9割は「認知症ではない人」

 何年か前のことですが、テレビから「高速道路の逆走のうち、運転者が認知症だったのは約1割」というニュースが流れてきて、目がくぎ付けになりました。

 こうしたことがニュースになること自体が、逆走と認知症を結びつけて考える人が多いという表れでしょう。しかし、私が注目したのはその点ではなく、「残りの9割は、認知症ではなかった」ということなのです。

 交通ルールを守って運転していれば、逆走なんて起きるはずがない、と感じている人も少なくないと思います。それだけに、「そんな間違いを犯すのは、認知症だからだ」と思われるのかもしれませんが、実際には、認知症ではない人が運転していたケースの方がずっと多いのです。

 どんな人にもミスはあります。しかし、同じミスでも認知症の人が起こすと、「やっぱり、認知症だからだ」と思ってしまう。そういう先入観が、まだまだ根強いのを感じます。

進行度、症状には個人差…でも一律に免許取り消しの日本

 日本では、認知症の人が車を運転することは認められていません。2017年3月からは、75歳以上の人が免許を更新する際などに認知症かどうかを調べる仕組みが強化され、免許を自主返納する人が大幅に増えたそうです。

 しかし、一口に認知症といっても、私のようなアルツハイマー型だけでなく、レビ-小体型、脳血管性などがあり、原因となる病気によってそれぞれ症状が異なります。同じアルツハイマー型であっても、病気の進行度はもちろん、症状の表れ方も個人差が大きいと感じます。ですから、認知症になったら一律に運転できなくなるのは、あまり合理的でないように思うのです。

 もちろん、運転したら危ない人には、ハンドルを握らせるべきではありません。そういう人に運転をやめてもらうのに、私たち当事者も協力したいと思っています。そのためには、医師の診断書だけでなく、本当に安全に運転できるのかどうかを実際の運転で判断する必要があるのではないでしょうか。

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丹野智文(たんの・ともふみ)

 おれんじドア実行委員会代表

 1974年、宮城県生まれ。東北学院大学(仙台市)を卒業後、県内のトヨタ系列の自動車販売会社に就職。トップセールスマンとして活躍していた2013年、39歳で若年性アルツハイマー型認知症と診断を受ける。同年、「認知症の人と家族の会宮城県支部」の「若年認知症のつどい『翼』」に参加。14年には、全国の認知症の仲間とともに、国内初の当事者団体「日本認知症ワーキンググループ」を設立した。15年から、認知症の人が、不安を持つ当事者の相談を受ける「おれんじドア」を仙台市内で毎月、開いている。著書に、「丹野智文 笑顔で生きる -認知症とともに-」(文芸春秋)。

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