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在宅訪問管理栄養士しおじゅんのゆるっと楽しむ健康食生活

コラム

レシピ通りなのに、なぜ美味しく作れないの?

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レシピ通りなのに、なぜ美味しく作れないの?

「焼き鳥丼」を作りました。娘の大好物のシシトウてんこ盛りです

 皆さんは、料理が得意ですか?

 管理栄養士になる前、私は料理が苦手でした。今では仕事ではもちろん、家族のために、毎日料理をしています。安い材料で簡単に、なるべく短時間で料理できて、後片付けが少なくなるように工夫をしています。

 毎日の料理が負担だと思う方もいらっしゃるでしょう。しかし、毎日の食事が私たちの心と体の健康を作っています。細胞は毎日新しいものに生まれ変わり、そのエネルギーも「食べたもの」から作りだされています。また、栄養さえ取ればどんな食べ物でもいいわけではなく、おいしい料理が身も心も満たし、明日への活力につながると考えています。

 料理は自分の仕事のひとつではありますが、「夕飯のおかず」が思い浮かばず、悩んだ時には、インターネットの料理サイトの力を借りることもあります。冷蔵庫に「豚肉」と「ナス」があれば、その二つの食材を入力して検索。「豚肉とナスの 味噌(みそ) 炒め」など、いろいろな「豚ナス料理」のレシピを見ることができます。

 ところが、レシピ通りだったはずなのに、「イメージしていた味と違う」と感じることがあります。多くの友人や家族も同じ経験をしてきたようです。

全く同じ材料なのに味が違うのはなぜ?

 女子栄養大学の学生だった頃、「調理学実習」という授業がありました。そろいの白衣と白い帽子に身を包み、マスクをすると誰が誰だか見分けがつきません。半円形で階段状の形をした、まるで古代ローマの劇場のような「デモ調理室」で、先生が懐石料理、中華、フレンチなどさまざまな料理のお手本を見せてくれます。

 その後、各班に分かれた生徒たちが、同じ材料、同じ切り方、同じ調味料、同じ鍋で調理します。ある日、自分たちの料理を食べた後、先生の料理と食べ比べてみました。確か中華料理のスープだったと思いますが、先生が調理したものはすっかり冷めていたのにとてもおいしくて、味や食感の違いに驚きました。

 「同じレシピなのに、なぜこんなに味が違うのだろう?」

 それから「デモ調理」を見る目が変わりました。先生は調理をしながらこまめに火加減を調整していることに気づきました。強火→中火→最後に強火と本当に微妙に使い分けたり、ずっと弱火だったのに、途中で味見してから少し火加減を強めたりすることも。加熱すると食材や煮汁などの水分が蒸発し、料理の調味料の濃度が変わります。「火加減」は「味加減」につながるのです。

 また、季節ごとの「食材の変化」にも臨機応変に対応しなければなりません。例えば、これからの時期に出回る春キャベツは柔らかく、火が通りやすいため、 () ですぎに注意が必要です。

計量カップとスプーンを正しく使えていますか

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私愛用の計量スプーン

 私の自宅キッチンには、2種類の計量カップと何本かの計量スプーンがあります。

 ところで、計量カップとスプーンは、誰が考案したものかご存じでしょうか。

 それは私の母校である女子栄養大学の創立者、香川綾先生です。先生の自伝「栄養学と私の半世紀」には、戦後間もない昭和22年頃に計量カップとスプーンを考案しようと思い立ったとあります。

 「(料理の)ものさしがバラバラでは、教える人にとっても単位が違い、習う人も大変で、栄養のある料理を広く普及するというわけにはいきません。また、化学教育と食物教育の間にメジャーの差があっては、いたるところに混乱がおきてきます」(『栄養学と私の半世紀』より引用)

 「栄養のある料理を普及するため」という信念が、「料理のものさし」作りの原動力となったのですね。その後、香川綾先生は当時の文部省や農林省の担当者と相談して、現在の計量カップとスプーンが完成し、昭和30年頃から広く一般家庭に浸透していきました。

 今ではどこの家庭にもある料理道具ではありますが、正しい計量方法は意外と知られていません。

 計量スプーンで液体を量る時には、表面張力で少し盛り上がるくらいまで入れた状態にします。さらに液体調味料の「スプーンの2分の1」とは、スプーンの7分目くらいのことを指します。深さの2分の1ではありませんので、こちらもお気をつけください。

 塩や砂糖などは自然にすくってからすりきるようにしましょう。粉をぎゅっと押してスプーンに押し込めないことが大切です。塩や砂糖などの場合は、まずすりきりにしてから縦半分にすればわかりやすいです。

料理は「趣味」ではなく「生き抜く術」です

 「レシピ通りなのに、うまく作れない」と思った時、まずは調味料を正確に量れているのか確認することと、季節による食材の違いを意識しながら、切り方や火力の微調整をしてみてください。レシピは「絶対」ではありません。「もう少し塩気を減らしたいな」とか「甘さが足りないな」と感じる時には、あなただけのレシピへと調整を加えていけばいいのです。

 料理は「生きぬく (すべ) 」だと私は思っています。

 いつも食事を作っている「お母さん」が突然病気で倒れてしまったり、大きな災害が起きて、すぐに食べられる調理品が入手できなくなったり。そんないざという時に、自分自身や家族の健康を守るためにも、誰もが最低限の料理の技術を身に付けておくべきだと思います。(塩野崎淳子 在宅訪問管理栄養士)

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塩野崎淳子(しおのざき・じゅんこ)

 「訪問栄養サポートセンター仙台(むらた日帰り外科手術WOCクリニック内)」在宅訪問管理栄養士

 1978年、大阪府生まれ。2001年、女子栄養大学栄養学部卒。栄養士・管理栄養士・介護支援専門員。長期療養型病院勤務を経て、2010年、訪問看護ステーションの介護支援専門員(ケアマネジャー)として在宅療養者の支援を行う。現在は在宅訪問管理栄養士として活動。

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