歌手 研ナオコさん
一病息災
[歌手 研ナオコさん]片頭痛と橋本病(1)突然だるさに襲われ
「ベッドに倒れ込んだ後は、全く覚えていなくて……」
2007年10月、米・シアトル。チャリティーコンサートを終えてホテルに戻ると、ひどいだるさに襲われた。両足には、赤い点が広がっていた。翌朝にはだいぶ体調が戻り、ロサンゼルスでのステージもこなして無事に帰国した。
皮膚トラブルやだるさにはその後も、悩まされた。かぶれやニキビのない自慢の肌だったのに、目の周りの湿疹がひどく、メイクで隠した。気力がわかず、休日は自宅のソファに横になっていた。
片頭痛は10代からで市販薬で乗り切っていた。薬の量が増え、耳鳴りやめまいが伴うようになった。しかし、元々、ギリギリまで我慢する性格だ。歌もバラエティーも、全力投球。苦しんでいることは、気づかれなかった。
10年秋、転機が訪れた。音楽家・宇崎竜童さん、作詞家・阿木燿子さん夫妻と共演した。1975年のヒット曲「愚図」を提供してもらって以来の付き合いだった。
「最近ずっと変なの」
吸い込まれるように夫妻の楽屋に直行し、前置きなく切り出した。宇崎さんは「いい先生がいる」とすぐに連絡をとってくれた。
ずっと抱え込んでいたつらさをなぜ、あの時、相談したのか。
「勘が働いたのかな。昔から阿木さんには、他の人にはうまく伝わらないことを、すぐ理解してもらえた。そんな仲でもあるし」
勘は当たった。
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歌手 研ナオコさん(64)
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