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認知症介護あるある~岡崎家の場合~

もっと知りたい認知症

孫との再会で号泣! 実は昨日も会ってます…

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漫画・日野あかね

漫画・日野あかね

「キレ期」を経て「ウルウル期」に

 認知症になると、感情のコントロールが難しくなるようです。それは認知症の父さんを見ていると、すごくよくわかります。

 元気なころの父さんは仏頂面であまり感情を表に出すタイプの人ではありませんでした。母さんとケンカをしてもダンマリを決め込み、「まったく、何を考えているんだか!」と言われる感じです。

 ところが脳血管性認知症だとわかったばかりのころ、父さんは俗にいう“キレやすい”キャラに変わってしまいました。常にイラつき、ちょっとしたことでも怒りが大爆発。当時はまだ脳血管性認知症に対する知識が少なかった私や母さんも一緒になってキレては、派手にケンカをすることも少なくありませんでした。

 そして体力的にも精神的にもキレる元気がなくなった今、父さんは常に目がウルウルしている、ひどく涙もろい人になってしまいました。それは「涙腺が壊れているんじゃないの?」と母さんに言われるほどです。

 うれしくても、怒りに震えても、悲しくても、面白くても、涙を流し、鼻をズルズルさせています。とにかく脳血管性認知症により“感情豊かな涙腺”になってしまったようなのです。

 こんなふうに、ちょっとしたことでも激怒したり、大泣きしたりするのは、認知症により、感情をコントロールする脳の働きが低下するためと聞きました。特に父さんのような脳血管性認知症でよくみられる症状で、専門的には「感情失禁」という何だかすごい用語で呼ばれているのだそうです。

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認知症介護あるある~岡崎家の場合~

岡崎杏里(おかざき・あんり)
 ライター、エッセイスト
 1975年生まれ。23歳で始まった認知症の父親の介護と、卵巣がんを患った母親の看病の日々をつづったエッセー&コミック『笑う介護。』(漫画・松本ぷりっつ、成美堂出版)や『みんなの認知症』(同)などの著書がある。2011年に結婚、13年に長男を出産。介護と育児の「ダブルケア」の毎日を送りながら、雑誌などで介護に関する記事の執筆を行う。岡崎家で日夜、生まれる面白エピソードを紹介するブログ「続・『笑う介護。』」も人気。

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日野あかね(ひの・あかね)
 漫画家
 北海道在住。2005年にステージ4の悪性リンパ腫と宣告された夫が、治療を受けて生還するまでを描いたコミックエッセー『のほほん亭主、がんになる。』(ぶんか社)を12年に出版。16年には、自宅で介護していた認知症の義母をみとった。現在は、レディースコミック『ほんとうに泣ける話』『家庭サスペンス』などでグルメ漫画を連載。看護師の資格を持ち、執筆の傍ら、グループホームで介護スタッフとして勤務している。

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