認知症介護あるある~岡崎家の場合~
医療・健康・介護のコラム
孫との再会で号泣! 実は昨日も会ってます…
涙腺崩壊のじいちゃんとクールな4歳児
父さんの“感情豊かな涙腺”はデイサービスの帰りを出迎えてくれる孫のたー君のひと言で、うれしさから毎度、大崩壊を起こします。「じいちゃん、お帰りー!」の最初の「じ」が聞こえたあたりから、父さんは大号泣。「岡崎さん、久しぶりにお孫さんに会ったのですか?」と、何も知らない新入りのデイサービスのスタッフさんから質問されるほどです。とにかく父さんの中で毎回、“孫との感動の再会シーン”が繰り広げられるのです。
一方、うれし泣きをする父さんの手を引き、「じいちゃん、家に帰ったら手を洗って、うがいをした方がいいよ」と冷静沈着に洗面所まで誘導するたー君。この温度差は何でしょう……。まぁ、これも岡崎家ではお 馴染 みの「認知症介護あるある」なワンシーンなのです。
感情豊かな父さん…周りは大変だけど、きらいじゃない
父さんが涙もろくなったことに伴い、困りごとがひとつ増えました。それはティッシュペーパーがすごい勢いでなくなることです。
父さんは、涙を拭き、鼻をかむためにテーブルの上にティッシュペーパーを置いています。感動的なテレビ番組が始まり、その番組が終わるころにはひと箱が空になっていることもしばしばです。そして、私は母さんに頼まれて毎度ドラッグストアまでティッシュペーパーを買いに走るのです。
脳血管性認知症により、感情がとめどなくあふれ出すようになった父さん。孫と温度差があっても、大号泣のせいでティッシュペーパーを買いに走らされても、私は仏頂面で何を考えているかわからなかった元気だったころの父さんよりも、今の“感情豊かな涙腺”ですぐに号泣してしまう父さんがきらいではないのです。これも私にとっての「認知症介護あるある」なのです。(岡崎杏里 ライター)
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