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ロボット使った内視鏡手術、新たに12種類で保険適用

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ロボット使った内視鏡手術、新たに12種類で保険適用

 ロボットを使った内視鏡手術が今年4月、胃がんなど12種類の手術で保険適用される。これに先立ち、自費診療でこの手術を受けた愛知県の男性(60)は「傷がほとんどなく手術後の痛みも軽く済んだ」と体験を話す。ただ、安全に行うには技術が必要な手術で、病状によっては適さない場合もある。十分に説明を受けて選ぶことが大切だ。(森井雄一)

胃、大腸、肺がんなど

 この男性は昨年暮れに早期の胃がんが見つかり、藤田保健衛生大学病院(愛知県豊明市)で2月、ロボット手術を受け、胃の3分の2を切除した。開腹と違い、おなかの傷は小さく済み、術後1週間であまり痛みもない程度まで回復した。

  腹腔鏡ふくくうきょう胸腔鏡きょうくうきょう といった内視鏡を付けたロボットの手術は、腎臓がんと前立腺がんの手術にしか保険が利かなかったが、今春からは胃、大腸、肺がんなど12種類の手術にも拡大される。

 ロボットは、米企業が開発した「ダビンチ」。約280台が全国の大学病院などに導入されている。

拡大、3D映像、手ぶれ補正機能も

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 ロボット手術は、体に数か所開けた小さな切り口から、ロボットアームに付けた内視鏡や操作器具を差し込んで行う。医師は離れた場所にある操作台に着き、体内の映像を見ながら手元のハンドルを動かしてロボットを操縦する。

 メリットは手術する部分の見やすさと操作のしやすさだ。細い血管や神経も拡大して見られ、視野が3D映像になって遠近感をつかみやすい。手ぶれ補正機能もある。操作器具の先端が曲がり、通常の内視鏡手術で使う器具では届きにくい部分の処置もできる。

 同病院総合消化器外科教授の宇山一朗さんは「腹腔鏡は手首を曲げずに歯を磨くイメージだが、手首を動かして細かく磨けるのがロボット手術」と説明する。

 ロボット手術を受けた男性は「どこに傷があるかわからないほどで、技術の進歩に驚いた」と語る。

 ロボット手術は、ロボット自体が2億~3億円と高額で、通常の内視鏡手術に比べ1回の費用も割高になる。しかし、それを上回る治療のメリットがあるかどうかはっきりせず、定着に時間がかかっていた。

 最近、同大や佐賀大など15病院で実施した胃がん手術の臨床試験で、通常の腹腔鏡手術より合併症が少ないという結果が出た。

 とはいえ、腫瘍の大きさや位置、進行度によっては適さないケースもあり、開腹が必要になる。ただ、「腹腔鏡手術ができる症例なら、ロボット手術に置き換えることは可能だろう」と宇山さんは推測する。

 もちろん技術のある医師が行うのが前提で、日本ロボット外科学会理事長の渡辺剛さんは「誰でも使いこなせるものではない。トレーニングを積んで安全に行うことが重要」と話す。

 今回の保険適用では、手術の診療報酬(医療の公定価格)が通常の内視鏡手術と同額となった。病院の利益が抑えられた形だ。安易な広がりを食い止める狙いもあるとみられる。

 医療制度に詳しい国際医療福祉大教授の池田俊也さんは「術後の生存期間が通常の内視鏡手術と差がないかどうか、長期的な評価はこれからだ。今後もデータを集めて分析し、安全性や有効性をきちんと検証する必要がある」としている。

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