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日本人はあがりやすい?…不安に弱い遺伝的要素も

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 あいさつなど人前で話す際、緊張し過ぎて、しどろもどろになってしまった経験はないだろうか。なぜ、あがってしまうのか。その対策とは。

 あがるとは「緊張によって頭に血がのぼり、平静ではいられない状態」を指す。

 一般的な日本人は不安やプレッシャーに弱く、あがり症も多いとされる。神経内科医で生理学研究所(愛知県岡崎市)教授の柿木隆介さんによると、あがり症には遺伝的な要素が関係しているという。

 脳内神経伝達物質のセロトニンは、人の感情に影響を与える。セロトニンの量を調節するたんぱく質の遺伝子にはS型とL型の2種類があり、組み合わせでSS型、SL型、LL型に分類される。

 S型が多いほど内向的で不安を感じやすく、L型が多いと社交的で活動的になる。世界の中でも、日本人はS型を持つ割合が高く、不安に弱く、あがりやすいという。

 人は不安を感じると、アドレナリンとノルアドレナリンが分泌され、交感神経の働きが強まる。心拍数や血圧が上がり、冷や汗が出たり、口の中が渇いたりする。これがあがった状態だが、適度な緊張は、集中力を増し、プラスに働くこともある。

 しかし、「過度に緊張してしまうあがり症は、交感神経がより敏感なため、声や手が震えるなどの症状がより強く出て、パニックになることもある」と柿木さんは話す。

 過度な緊張状態が、脳の記憶に関わる器官に伝わると、過去に同様のことで失敗した記憶がどんどん思い出され、何も考えられなくなる。いわゆる「頭が真っ白」な状態だ。

 あがり症は治らないのか。柿木さんは「性格は遺伝子だけで決まらない。後天的な要素も大きい」と指摘する。環境の変化などで、内気な人が社交的になるケースも多い。

 大切なのは自信を持つこと。何度も反復練習をすることが重要だ。スピーチの原稿を作ったら何回も読み上げる。地味で時間のかかる作業の積み重ねが、自信と安心感を与えてくれるという。柿木さんは「成功体験を重ね、記憶の上書きをしてほしい」と話す。

腹式呼吸、ストレッチで…気持ちにゆとり

日本人はあがりやすい?…不安に弱い遺伝的要素も
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 あがり症の人が、人前で話す時には何を心がけるか。

 一般社団法人「あがり症克服協会」理事長の鳥谷朝代さんによると、あがり症の特徴のひとつが声の震えだ。原因は呼吸の浅さにあるという。腹式呼吸を意識し、姿勢にも気をつける。胸を張って背筋を伸ばすと、より深く呼吸できる。声の震えがなくなると、気持ちにゆとりが生まれる。緊張で硬直した体をほぐすためのストレッチも有効だ。

 メンタル面のトレーニングも欠かせない。「うまくやろうと意識し過ぎたり、あがらないようにと意気込んだりするのは逆効果」と鳥谷さん。

 人から見られることを意識せず、むしろ、自分が見る側だと考えれば、あまり緊張しなくなるという。「話す前に参加者を見回し、わかりやすく伝えるにはどうすればいいのかを考えるようにすると、緊張が解けていきます」と鳥谷さんはアドバイスする。

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