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心療眼科医・若倉雅登のひとりごと

コラム

【患者学(3)】医師並みの知識を持って一緒に治療方針を決める…「コンコーダンス」の理想

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 前回、「コンプライアンス」「アドヒアランス」という理想に、日本はまだまだ届いていないというお話をしました。

 ところが、英国の医療では、アドヒアランスよりもさらに一歩前へ進んだ理想をすでに掲げているのです。「コンコーダンス」という考え方です。

考えや方針の調和、同意、一致へ…医師の知識・経験、患者の人生観

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 コンコーダンスは「調和や同意」という意味で、医師と患者の考えや方針が完全に一致していることを示します。

 そのためには、患者は少なくとも、自分の病気や症状、治療法などについて、医師と同等の知識を持っていなければなりません。患者は医師任せにするのではなく、自分も十分な知識を持って、担当医師とともにどういう方針で病気を治療して行くのかを決定してゆく、と考えます。

 医師は専門的知識と臨床経験から考えていきます。患者は、専門的知識の面で追いつくことはできても、経験はありません。しかし、治療方針の決定のために、医師とは異なる観点を持つことができます。自身の病気や人生をどう捉えているかだったり、家族や仕事など周囲の環境だったり、自分の経済的状況などです。医師と患者が、それぞれの考えを対等な立場で出し合いながら、詳細な方針を刻々と選択していくのです。

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201505_第4回「読売医療サロン」_若倉

若倉雅登(わかくら まさと)

井上眼科病院(東京・御茶ノ水)名誉院長
1949年東京生まれ。北里大学医学研究科博士課程修了。グラスゴー大学シニア研究員、北里大学助教授、井上眼科病院副院長を経て、2002年から同病院院長。12年4月から現職。日本神経眼科学会理事長、東京大学医学部非常勤講師、北里大学医学部客員教授などを歴任し、15年4月にNPO法人「目と心の健康相談室」を立ち上げ副理事長に就任。「医者で苦労する人、しない人---心療眼科医が本音で伝える患者学」、「健康は眼に聞け」「絶望からはじまる患者力」(以上春秋社)、「目の異常、そのとき」(人間と歴史社)、医療小説「茅花流しの診療所」(同)など著書多数。専門は、神経眼科、心療眼科。予約数を制限して1人あたりの診療時間を確保する特別外来を週前半に担当し、週後半には講演・著作活動のほか、NPO法人、患者会などでのボランティア活動に取り組む。

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