40代から備えよう「老後のお金」 楢戸ひかる
医療・健康・介護のコラム
認知症になってからでは遅い 調べておきたい親のお金
任意後見人になると思わぬ費用が…
前回のコラム で、任意後見契約書を公証役場で作ったと書きました。そのとき、公証人から「 任意後見契約がスタートすると、任意後見監督人の費用がかかることはご承知おきください 」と言われました。
任意後見監督人とは、任意後見人である私が不正をしていないかをチェックする役目の人のことをいい、家庭裁判所が研修を受けた弁護士の中から選びます。「その費用の相場は、月額1~3万円くらいです(公証人)」。
後見開始後の家計を具体的にシミュレーション
私の任意後見人報酬は無償で、わが家にとって任意後見契約は、「万一の時の保険」という位置づけです。両親の判断能力がなくなった時、事務手続きなどが煩雑化して慌てないよう、念のために前もってリスクヘッジをしておいたのです。そのコストとして、書類作成費用約4万円がかかりましたが、「それくらいなら、ま、いっか」と、ママチャリを新調するくらいの気分で決めたのです。
ところが、任意後見契約をスタートさせたら最後、親が亡くなるまで任意後見監督人の費用が毎月かかるとなれば、慎重になります。
私が後見人になった後も、わが家の家計は大丈夫なのか。具体的にシミュレーションしてみました。まず考えられるのは、両親の突然の入院や、それに伴う老人ホームへの入居時の費用の工面です。親に代わって、私が一時的にでもお金を立て替えるのは、相当厳しそう。それでなくても40代といえば、教育費や住宅ローンなど、「右から左」にお金が飛んでいく時期ですからね。
「娘」と「任意後見人」はどう違う?
両親の定期預金をあてにしなければならないケースも考えられます。でも、いざという時、私が解約できるのでしょうか?
この疑問を、両親のメインバンクの担当者に会って聞いてきました。
個室ブースに通され、担当者と名刺交換した後、率直に切り出してみます。「『娘』であることと、『任意後見人』であること。権限には、どの程度の違いがあるのですか?」
担当者は言います。「大変、失礼な言い方になってしまいますが、現在、当行では『血縁関係がある娘さん』というだけでは、何の権限もありません。これは『婚姻関係のある奥さま』でも同じです」
その一方で、「任意後見人の方であれば、口座に対しての全ての権限があります」とも。ただし、その場合、私が任意後見人となった時点で、親自身はその口座に対しての権限が全てなくなってしまうのだそうです。通帳にも父の名前の上に、任意後見人として私の名前が記載されるそうです。ただ、「これは全て、『当行の場合』ということでお考えください」ということでした。
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