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五味院長の「スッキリ!体臭で悩まなくなる話」

医療・健康・介護のコラム

わきがの悩み(下)ニオイを「減らす方法」と「なくす方法」

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対処法は多様 悩みの強さで選択を

 わきがの臭いを抑えたい人にとって大切なことは、自分の悩みの強さや、「どうなりたいか」という要求水準を明確にすることです。完全になくしたいのか、それとも他人に分からない程度に軽減すればよいのか。それによって対処法が異なるからです。

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 本当に悩みが強くて、わきがを永続的かつ完全になくしたいならば、手術による根治療法が必要です。ある程度まで抑えればよいなら、さまざまな対症療法(保存療法)があります。

 最も身近な保存的対処法は、市販の制汗デオドラント剤を使用することです。わきがの程度が軽度から中等度の人なら、デオドラント剤を上手に利用することで十分対応できます。デオドラント剤の正しい使い方については、別の機会に詳しくお話ししましょう。

 脱毛も兼ねてわきがを軽減したい人には、医療機関での「電気凝固法」が有効です。アポクリン腺は毛根部にあるので、絶縁した脱毛針を毛根まで挿入し、高周波の電流で熱凝固させます。アポクリン腺だけでなく毛根も破壊されるので、わきがの軽減とともに脱毛にもなります。

 ワキ汗が気になり、わきがも抑えたい場合には「ボツリヌス注射」が有効です。「ボツリヌス注射」はボツリヌス菌の分泌物を無毒化したもので、神経の末端に付着して発汗を刺激するアセチルコリンの分泌を抑制する効果があります。ボツリヌス注射の作用は非常に強力で、約60~80%もの減汗効果があります。わきがはアポクリン腺からではない通常の汗と一緒になることで、より強いニオイとなります。そのため、汗を減らすことで、間接的にわきがも抑えることができるのです。

完全になくすなら手術

 一時的な軽減ではなく、わきがを完全になくしたい場合には、手術が必要です。ただ、手術法は医療機関によって異なるので、自分の悩みの強さに応じ、自分に合った手術法を選択することが大切です。

 また、わきがの手術は左右一度に行わず、片方ずつ受けてください。片方ずつ手術をすると、左右を自分の鼻で比較できます。「自分の気にしているニオイが完全になくなった」と自覚的に確信してから、もう片方を受けることで、大きな自信になります。

 手術法には、大きく分けて、皮下のアポクリン腺を確認しながら行う「直視下法」と、器械を使用する「非直視下法」があります。非直視下法は切開口が小さく、傷が残りにくいメリットがありますが、皮下のアポクリン腺を確認できませんので、わきがが残るリスクも高くなります。一方の直視下法はアポクリン腺を完全に摘出したことを目で確認しながら根治させることが可能ですが、傷が残りやすいデメリットがあります。したがって、悩みが本当に強く「わきがが完全になくなることで積極的な生き方ができる」と考える人は根治的な直視下法が適しているでしょう。傷が気になるという人は、完全でなくても傷の残りにくい非直視下法を選択するのが無難でしょう。

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五味常明(ごみ・つねあき)

1949年、長野県生まれ。一橋大学商学部、昭和大学医学部卒。昭和大で形成外科、多摩病院で精神科に携わった後、体臭・多汗研究所を設立。現在は、 五味クリニック 院長として、東京と大阪で診療する傍ら、流通経済大スポーツ健康科学部の客員教授も務めている。

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