いきいき快適生活
介護・シニア
介護手前の「フレイル」解消
筋力、気力低下 チェックし改善
介護が必要になる手前の段階「フレイル」への関心が高まっている。放っておくと要介護につながりやすいが、早期に対処すれば健康な状態に戻ることもあるからだ。介護予防のため、フレイルの兆候をチェックできる仕組みを導入する自治体も出てきた。
「きれいな色です。よくかめてますね」
神戸市兵庫区の薬局で、管理薬剤師の安田理恵子さん(49)は、近くに住む塩田
他にも、認知や運動機能に関する質問に答えたり、握力や足腰の筋力を測定したりする検査がある。
健康寿命を延ばす取り組みとして、同市は2017年度から65歳の市民を対象に、集団健診会場や薬局で無料チェックを実施。結果を基に、今後の生活上の注意点を伝える。啓発のため、対象年齢以外の人も検査する薬局もあり、そこで参加した塩田さんは「簡単に受けられていいですね」と笑顔を見せた。
フレイルチェックは、千葉県柏市や神奈川県茅ヶ崎市、福岡県飯塚市など様々な自治体が取り入れている。
多くの高齢者は、健康な状態からいきなり要介護状態に移行するのではなく、筋力や気力が低下する中間的な段階を経ると考えられている。それを日本老年医学会は、英語の「frailty(虚弱)」から「フレイル」と名付けた。
一般的なチェック項目として、〈1〉握力が落ちた〈2〉活動量が低下した〈3〉歩行速度が遅くなった〈4〉疲れやすくなった〈5〉体重が減った――がある。3項目以上該当すればフレイル、1~2項目だと予備軍のプレフレイルとされる。
内科医で大阪大学講師の杉本研さん(老年・総合内科学)は、「フレイルの状態で放置しておくと、要介護状態になる可能性が高まる」とし、該当した項目の改善を促す。プレフレイルの人も同様だ。
例えば、歩行速度の低下に当てはまったら、運動習慣をつける。体重減少なら食生活を見直し、
運動では、スクワットや片足立ち、つま先立ちなどを繰り返すことが有効だ。スクワットなら3秒ほどかけてゆっくり腰を落とし、また3秒ほどかけて戻す。出来る範囲から始め、少しずつ回数や時間を増やして筋力をつける。
食事では、筋肉を作るたんぱく質を積極的に取るよう心がける。鶏の胸肉や豚ヒレ肉、マグロ、豆類などがお勧めという。ビタミンやカルシウムもバランス良くとりたい。
社会や他人との関わりも大事だ。友達や趣味のある人はフレイルになりにくいという。「町内会やボランティア活動など、家の外に出る用事を作って」と杉本さん。配偶者を亡くしたり、定年退職で環境が変わったりした人は意識的に取り組もう。
家族など周囲の人も、フレイルへの理解を深める必要がある。「健康な体に戻すには運動や活動的な生活が必要だと認識し、『けがをしたらどうするんだ』などと言って高齢者の行動する機会を減らさないようにしたい」と杉本さんは指摘する。
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