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田村編集委員の「新・医療のことば」

ニュース・解説

診療報酬改定 初診料が負担増も

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 保険診療で受けられる医療費を決める2018年度の診療報酬改定が7日、まとまりました。施行は4月からです。 

国の思惑とはウラハラに

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 今回の改定では、医療機関にかかった時の基本料に当たる「初診料」「再診料」は変わりません。診療報酬は点数(1点10円)で表され、初診料は282点、つまり2820円(患者の窓口負担は原則3割)です。

 しかし、制度の新設や変更で、実際の支払額はかなり変わってきます。そこに、国がこれから目指そうとする、医療のあり方が関わっているからです。

 私たちが日常的にかかる医療機関は、大きく診療所と病院に分けられます。どちらに行っても、初診料と再診料は同じですが、実は、診療所よりも病院(200床未満)へ行った方が、10~20点安い時代がありました。

 診療報酬が決まる際、国が力を入れたい医療に対し高い点数をつけることで、医療機関の取り組みを促そうとする一面があります。診療所の方が高かったのは、「診療所は外来中心、病院は入院中心で」という方針からです。

 でも、患者にしてみれば、設備も整い、医療費も安い病院の方にかかりたくなるのが心情です。かえって患者の病院志向を強めているのではないか、と指摘されるようになりました。度重なる議論の末、初診料は2006年度の改定で、再診料は10年度の改定で、診療所も病院も同額になりました。

恩恵に関係なく一律に加算

 今回の改定では、診療所や200床未満の病院の初診料に、新しく「機能強化加算」(80点)が設けられました。夜間や休日でも患者からの電話相談に対応できるなどのかかりつけ医機能を整えている――のが条件です。

 これまでも、かかりつけ医機能を備えた医療機関への加算はありましたが、再診料について時間外に対応できる診療所を評価(1~5点)したり、生活習慣病や認知症のある患者に限って加算したりするものでした。

 今回の機能強化加算は、該当する医療機関では初診時にすべての患者に対して上乗せされるのが特徴です。額も800円(3割負担で240円)と、初診料がほぼ3割近く増える計算になります。

 それならば、そうした加算対象の施設かどうかが患者に分かるようにできないか、という議論が、診療報酬を検討する中央社会保険医療協議会(中医協)でもありました。

 自分のかかりつけ医が加算対象の医療機関ならば、いざという時は心強いでしょう。ただし、点数が高くなれば、自己負担も増えます。

 評価の高いこうした医療機関がどれだけ広がるかは、医療側の体制整備だけでなく、患者側の意識や理解にもよることがお分かりになると思います。改定の行方が、単純には読み切れない理由がここにあります。(田村良彦 読売新聞東京本社編集委員)

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田村 良彦(たむら・よしひこ)
1986年、早稲田大学政治経済学部卒、同年読売新聞東京本社入社。97年から編集局医療情報室(現・医療部)で医療報道に従事し連載「医療ルネサンス」「病院の実力」などを担当。2017年4月から編集委員。共著に「数字でみるニッポンの医療」(読売新聞医療情報部編、講談社現代新書)など。

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1件 のコメント

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診療報酬の枠の内外の調整と良い医療の防衛

寺田次郎 六甲学院放射線科不名誉享受

緊急時やお金持ち患者の場合、かかりつけ医と中小病院、大病院を分かつ理由で初診料の割合は軽微だと思います。 だから、直接受診のペナルティのお金を課...

緊急時やお金持ち患者の場合、かかりつけ医と中小病院、大病院を分かつ理由で初診料の割合は軽微だと思います。

だから、直接受診のペナルティのお金を課しても、あまり変化が見られない一方で、癌治療薬などの制約、事実上一定規模の病院でしか抱えられないCTやMRI、核医学機器、手術室、血管造影室などの高精度検査治療機器等の問題が大きくなります。

緊急時にかかりつけ医を経由することが、診断治療の遅れを招くことを考えれば、普段からのリスク管理や連携構築の方が重要ではないかと思います。
それに関しても、普通のかかりつけ医の持てる器材では限界があり、そういった部分の施設差や地域差を埋めるための財源の柔軟性や関連法整備の方が重要になると思います。(多少の地域談合のリスクはあっても、タンス預金が地域振興のために掘り起こされる方が大事。)

また、採算構造も含めて、かかりつけ医やその施設のスタッフへの過重労働を防ぐ枠組みも必要です。
かかりつけ医への再シフトも決まったばかりなので、走りながら改善していく必要があるでしょう。
巨大企業のモーレツ社長が率先して、社長交代したみたいですが、同じように、いずれは働き方改革の形が必要になるかもしれません。

社会における富の格差も進む中で、健康維持や診断治療に使えるお金も格差が開いていると思いますが、医療人が臨床も研究も悪事に走らないで良いように状況を整えていく必要があります。

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