健やかキッズ
妊娠・育児・性の悩み
きょうだいげんか 公平に見守る
社会性、対人関係学ぶ機会
子どものきょうだいげんかにどう対応したらよいか悩む親は多いだろう。専門家は、「きょうだいげんかは、社会性を育む貴重な機会。親はなるべく介入せず、公平に接することを心がけて」などとアドバイスする。
東京都内の会社員女性(44)の家では、小学4年生の長男(10)と保育園に通う長女(5)が、毎日のようにけんかをする。「妹に大切なおもちゃを勝手に使われた」「お兄ちゃんの方がおやつの量が多い」など、ささいなことがきっかけで、口論となったり、腕をつかみあってとっくみあいになったりすることもある。
「仲の良いきょうだいでいてほしいが、『けんかをやめなさい』と怒る毎日。つい兄の方を強くしかってしまうことも悩み」と打ち明ける。
元公立保育園長の鈴木八重子さんは、幼いうちに、なるべくたくさんけんかしてほしいと言う。「思うようにいかない他者がいるという経験を通して、おのずと社会性や対人関係を学んでいるのです」と話す。
親はどんな点に気をつければよいのか。
鈴木さんは、大きな危険がない限り、基本的には親は見守り、介入しないほうがよいという。「お兄ちゃんなんだから」などと言わず、意識して公平に接するよう努める。「弟ばかり、お母さんに甘えてずるい」「この前、自分だけ抱っこしてもらえなくて悲しかった」などとけんかを通して、本音が次々飛び出すので、注意深く耳を傾けよう。
けんかを途中で止めると、蒸し返しがちになる。時間を置き、落ち着いたタイミングで、「どうしてほしかったのか言ってごらん」などとフォローすることも大切だ。
年齢や体格に大きな差がある場合には、助け舟を出してもよい。「次は、弟が言いたいことをしゃべるまで待ってあげようね」「体が小さな妹と、とっくみあいになったらどうなると思う?」などと考えさせたり、がまんできた際には褒めてやったりする。
保育園や学校などでの友だち同士のけんかと違い、きょうだいでは、けんかの後も一緒の生活が続く。一方が悲しそうにしていたり、痛そうにしていたりする姿を見て、「悪かったな」「たたくとあんなふうになるんだ」など、相手の思いを想像して反省して謝ったり、さりげなく手加減したり、経験を積み重ねていくという。
「きょうだいがけんかをするのは、家庭が自分の意見が自由に言え、安心できる場所である証拠。健全なことです」と話すのは、臨床心理士の植松紀子さんだ。友人関係とは違い、甘えや安心感があるから、けんかができるのだという。
「おもちゃは順番に使う」「けんかでモノを壊したら小遣いから弁償してね」などと子どもが納得できるルールを作るのも一案だ。
「お母さんを独り占めしたい」「お父さんに注目してほしい」などの気持ちからけんかになることもある。「親が心に余裕をもって、子どもを順番に抱きしめてやったり、甘えさせたりすると、子どもが落ち着くこともあります」と植松さん。
きょうだいげんかの多くは心配はいらないが、けんかが一方的だったり、あまりにも激しい場合は、どちらかが心にストレスなどをかかえている可能性もある。「そうした際は、子どもの話をじっくり聞いたり、専門家に相談したりしてください」と植松さんは話す。
【関連記事】
※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。
※個人情報は書き込まないでください。