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【いのちの値段】「適正」を探る(2)高齢者のがん治療は多様

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【いのちの値段】「適正」を探る(2)高齢者のがん治療は多様

昼下がりの自宅のテラスで、夫の厚さん(左)と語りあう平根昌子さん。話題は尽きない(茨城県常陸太田市で)=奥西義和撮影

 テーブルがあるテラスに出て、夫の厚さん(78)とお茶を楽しむ。茨城県常陸太田市の自宅で、平根昌子さん(75)は、肺がん治療と学びの日々を思う。

 国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)の初診から4年後。昨年7月の誕生日に、やっと「高齢者」になった。肺がん治療では一般に、75歳以上を高齢者とみなすからだ。肝臓や腎臓が衰え、抗がん剤の副作用が強まる。糖尿病や血管障害など合併症が増え、治療のリスクも高くなる。

 「でも、個人差が大きいな」が、昌子さんの実感だ。2014年以降、抗がん剤の点滴治療で肺がん患者の病室に入院した時も、みんなの姿は多様だった。自分と同じ進行度が最も重いステージ4の80歳代でも、朝夕の食事や入浴以外は寝ている人がいれば、一緒に散歩をする人もいた。

 大半の抗がん剤の臨床試験は、70歳代前半までが対象だ。全国の現場では、家族や医師が「十分生きたから」と検査や治療を控えたり、現役世代と同じ治療を行ったりと、高齢者の治療はばらつきがあるという。

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