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その医療 ホントに要りますか?

コラム

子どもが頭をぶつけたらCTを撮る?

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 1歳の男の子が、コンクリートの階段から転落し、頭を打ってしまいました。額にたんこぶ(皮下血腫)ができて激しく泣き、母親はすぐに救急外来に連れて行きました。診察室では、母親の膝の上で、おとなしくおもちゃを眺めています。このような時、CT検査をすべきでしょうか。

通常のエックス線装置と比べ、けた違いの放射線量

 子どもが転んで頭を打ち、病院に駆け込むことはよくあります。そんな時に使われるのがCT(コンピューター断層撮影装置)です。頭の中の様子が鮮明に分かり、骨折はもちろん、脳内の出血や損傷といった異常を見つけることができます。命の危険や後遺症の恐れがあれば、ただちに手術が行われます。

CTスキャン3

 頭部ばかりでなく全身の検査に使われ、現代医療に欠かせない装置ですが、良いことばかりではありません。エックス線を照射するので、放射線 被曝(ひばく) というリスクがあるからです。

 CT装置は様々な角度からエックス線を当て、コンピューターで輪切りの画像にするため、通常のエックス線装置より多量の放射線が使われます。胸部エックス線の線量(実効線量)が0・06ミリ・シーベルトほどなのに対し、CTは数ミリ・シーベルトから、部位によっては十数ミリ・シーベルトと、けた違い。頭部の場合は2~5ミリ・シーベルト程度とされています。

子どもほど懸念される発がんリスク

 放射線被曝で最も問題になるのが、発がんのリスクです。放射線によって遺伝子が傷つくことが原因と考えられます。

 順天堂大学医学部の隈丸加奈子准教授(放射線診断学)によると、放射線によって誘発されるがんに関して、小児は成人より2~3倍発症しやすいと推定されています。CT検査を受けた子どもに脳腫瘍の発症が多かった、との海外の報告もあります。子どもはこれからの人生が長いぶん、被曝に伴う発がんが寿命に影響する可能性もある、といいます。

 ただ、CT検査と発がんとの関係は明確には分かっていません。放射線照射から発がんまでは数年から十数年以上の年月がかかるうえ、がんと診断されても原因が放射線かどうかは判別できないからです。それでも、発がんのリスクが否定されていない以上、「リスクがあるものとして考え、必要な場合に限って検査を行うのが原則」と、隈丸准教授は言います。

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tanaka200

田中秀一 (たなか・ひでかず)

 医療情報部(現医療部)、社会保障部、論説委員、編集局デスクを経て現職。長期連載「医療ルネサンス」を18年担当、現代医療の光と影に目を凝らしてきた。「納得の医療」「格差の是正」をテーマとしている。

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2件 のコメント

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同じ疾患でも施設や考えにより対応が変わる

寺田次郎 六甲学院放射線科不名誉享受

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放射線被ばくの確率的影響による発がんは医療問題だけでなく、経済的問題もあります。(MRIも危険性が明らかではないだけで、絶対安全ではなく、妊娠初期の胎児形成期では極力避けます。)
癌の検査や治療には大きなお金と手間が必要です。

高齢者の転倒による慢性硬膜下血腫など、類似の問題ですが、確率的に稀なケースでも、本人や家族にとっては1分の1であり、急性期の診断だけでなく、亜急性期や慢性期におけるケアや再診も含めて、地域ごとの運用のある程度の骨格を作ったうえでの運用が大事になります。(CT使用が簡便なエリアとそうでないエリアで運用は変わる)
また、高額医療機器の採算との兼ね合いも大事です。
再診や経過観察入院も大事になるかもしれませんが、そういうことと総合して、どう考えるか。
風邪に抗菌剤不使用の診療加算が付きましたが、同じような制度はできるのか?

地域格差が極力生じないように、不幸な犠牲者をなるべく出さない手段を模索するのが大事です。

地域の医療の手伝いに行くと、都会と設備やインフラ、人々の意識があれこれ違うことに気付きます。
けれども、日本の医療制度は一つです。
必然的に生まれてくるギャップにどう柔軟に対応するか、これからも議論が必要になります。

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