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待機児童対策で規制緩和、「公園内保育所」広がる

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待機児童対策で規制緩和、「公園内保育所」広がる

公園内保育所では、広いスペースでのびのび遊べるのも魅力だ(大阪府豊中市で)

 認可保育所などへの入所を希望しても入れない待機児童の対策として、「公園内保育所」が注目されている。保育所の用地確保に悩む都市部の自治体が公園を活用できるよう、2015年に国家戦略特区法が改正され、規制緩和された。全国で17の保育施設が認定されている。一方で、設置できる公園が限られるなどの課題も明らかになっている。(藤本綾子)

のびのびと

 大阪府豊中市の公園「ふれあい緑地」内で昨年12月、「トレジャーキッズふれあい緑地保育園」が開園した。関西初の公園内保育所だ。

 木々に囲まれた広場の一角にあり、保育所の中には、公園を訪れた親子連れが授乳やおむつ替えができるスペースも設けられている。

 長男(1)を通わせる女性(39)は「自営の塗装会社で子供の面倒をみながら事務をしていたので、入所できて本当によかった。子供も公園でのびのびと遊んでいます」と喜ぶ。

 同市は「住環境が良い」などの理由で子育て世帯に人気があり、全国的に少子化が進む中で、0~5歳児の人口が増加傾向にある。共働き世帯も増えており、待機児童数は11年には16人だったが15年には253人に急増したこともあり、特区の規制緩和を活用した。

 今年4月には別の公園にも保育所が設置される。市担当者は「公園内にあるので、自然豊かな保育環境を提供できる点も長所」という。

住民も好感

 これまで公園は、都市公園法により、遊具や休憩所、災害用の備蓄倉庫などしか設置できなかった。

 だが、待機児童対策などを目的に、国は特区内に限って保育所などの設置を認めた。「保育所の敷地は、遊具などを除いた広場面積の3割以下」といった条件のもと、東京や横浜、福岡などで保育所や認定こども園の設置が認められた。

 関西では豊中市、兵庫県西宮市、大阪府吹田市で計4施設が認定された。西宮市は今年4月、吹田市は19年4月に開園予定だ。

 緩和の背景として、都市部では広い土地が少なく、地価も高いため、用地確保が難しいことが挙げられる。

 また、用地があったとしても、住宅地の場合、近隣住民の反対で開設できないケースもある。

 兵庫県芦屋市では16年、事業者が住宅地での保育所の新設計画を断念した。住民から「狭い道に送迎の車が増えると困る」「騒音で地価が下がるのでは」などの反対を受けたためだ。千葉県市川市でも、住民の反対で新設計画を取りやめている。

 公園なら元々、子供が多く集まる場所のため、住民の理解が得やすいメリットがある。西宮市の担当者も「住民説明会では、『保育所ができれば明るい雰囲気になる』と歓迎する声も多かった」と話す。

 昨年には都市公園法が改正され、特区以外でも全国で公園内保育所を設置できるようになった。

条件厳しく

 ただ、数の面での効果は限定的だ。

 豊中市では412の公園があるが、「広さが足りない」「行事で使用される」といったものを除外していくと、条件に合う公園は「ふれあい緑地」など二つしかなかった。二つの公園内保育所の定員合計は156人。同市内では15~17年度に保育施設の定員約2200人分が増えたが、その1割未満だ。

 特区で認定された公園内の17保育施設の定員合計は約1700人(予定)。17年に全国で保育施設などの定員が前年より10万人増えたことに比べると、わずかだ。

 厚生労働省も「都市部では一定の効果があると考えているが、国有地の活用や事業所内保育所の推進なども合わせて進める」とする。

 子供と都市計画に詳しい三輪 律江のりえ ・横浜市立大准教授は「公園内保育所は待機児童対策だけでなく、地域貢献など幅広い視点から捉えるべきだ」と指摘する。例えば、保育士が子供の目線で「危険物がないか」と確認すれば、公園の管理維持につながる。子供にとっても、地域と関わりながら成長できる場になるという。

 「自治体は、保育施設を単に子供を預かる場所とみるのではなく、若い世代を呼び入れ、地域で子供が育つための拠点と位置づけたうえで、まちづくりを考えていく必要がある」と話している。

待機児童、昨年2万6081人

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 国や自治体が対応を進めているにもかかわらず、待機児童数は減っていない。国は2017年、保育施設などの定員を前年より10万人増やし、約273万5000人分を確保した。だが、整備が進むことで、利用希望者が増える「ニーズの掘り起こし」にもつながり、17年春の待機児童は前年より2528人増え、2万6081人だった。

 また、待機児童が解消できない一因として、保育士不足も挙げられている。国は保育士の処遇改善や研修制度の充実を図り、人材確保に力を入れている。

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