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難病の子 治療の扉(1)治験参加 座れるように

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 おもちゃのガラガラを握り、音を鳴らした。手足をほとんど動かせなかったわが子。 看取みと りしか考えなかった日々からは、信じられない――。

 長野市の加藤優子さん(41)は、脊髄性筋 萎縮いしゅく 症(SMA)を抱える長女・ 結唯ゆい ちゃん(2)の変化を目の当たりにした。2016年5月のこと。新薬の国際共同治験(臨床試験)に参加してから2か月後だった。

 SMAは、遺伝子変異で全身の筋力が低下する難病。進行して呼吸が困難になると命にかかわるが、根本的な治療法はない。新薬は初のSMA治療薬で、効果が出れば筋肉を動かすたんぱく質が増えるという。

 16年1月に結唯ちゃんが生まれ、病気がわかって絶望のふちにいたこの年3月、主治医を通じて治験を知った。夫の敦史さん(30)が東京女子医大の遺伝子医療センター(東京都新宿区)で説明を聞いた。

 「良くなる可能性があるなら受けよう」

 乗り気な敦史さんとは対照的に、優子さんは不安だった。何だか人体実験のよう。それ以上に、病気の娘を受け入れられない気持ちにとらわれていた。

 「やりたくない。看取られるのが結唯ちゃんの運命なんだと思う」

 後ろ向きだった優子さんを動かしたのは、夫の並々ならない覚悟だった。

 「それなら離婚して、俺が育てる」

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